バワの傑作ホテルには泊まらないと
新旧とりまぜて、さまざまなタイプのホテルがいまのゴールにはあるのだけれど、やはりジェフリー・バワの傑作のひとつである「ジェットウィング・ライトハウス」を訪れないわけにはいかない。バワを知らない人でも、水平線に溶けこむように落ちるインフィニティプールをつくった建築家といえば、関心をもたれるのではないだろうか。
実際、このホテルよりも快適、おしゃれなホテルはたくさんある。けれども、晩年のバワが建てた傑作ホテルを凌駕する建築はない。前述のトリも魅力的なコンセプトのホテルだが、バワのホテルがもつ引力のようなものは感じられなかった。もちろんそんなさりげなさがまた、トリの魅力でもあると思うのだけれど。
ライトハウスの圧巻は、なんといってもエントランスから彫刻のある回り階段を上がり、視界に海が飛び込んでくるロビーのプレゼンテーション。光の方向へと導くバワの手法は、いつもウマイっ! と思わされるが、ここ、白眉です。
ホテルとしての快適さはというと、まあ普通。バスタブなどの水回りは新しいので快適だし、シャワーも申し分ない水量。スリランカン的のんびり対応などがあったり、減点なところもちらほらあるので平均点といったところだ。
でも、ダイニングでの食事はおいしかった。洗練されすぎず、ローカルすぎず。シェフの目が一品ずつの料理だけでなく、サービスにも行き届いていて、おいしくも心地よく食事ができる。
右:階段の踊り場に置かれたテーブルと椅子。こんなところに置くかねという場所なのだが、座ってみると確かに心地よい視野。バワは自分が座りたいと思うところに椅子を置いたというが、こういう場所が好きだったのかも。
このホテルの楽しみ方は、やはりバワ探索。ホテル内をぶらぶら、できればフロントにお願いしてスイートを見せてもらうなどするのがいい。通路に岩が鎮座していたり、ゴールの街の色ともいうべきサマラカラーで塗られた壁、そして闇と光の動線などなど。
彼のフィロソフィーや建物にこめたゴールの歴史などに思いを巡らせながら、このホテルでしか味わえない時間を楽しみたい。
Jetwing Lighthouse(ジェットウィング・ライトハウス)
所在地 433A, Dadella, Galle
電話番号 091-222-3744
http://www.jetwinghotels.com/jetwinglighthouse
2016.11.07(月)
文・撮影=大沢さつき