35歳になると「できて当たり前」

――具体的には、どんなことを書いているのですか?

 まず、その役がどんな背景で生きてきた人なのかを、自分の想像で物語にしてしまうんです。今回は映画宣伝部の沙都子だったので、実際にPRの方がこの映画のためのインタビューを組んでくださる現場も参考にしました。

 SNSで見つけた、映画宣伝に関わる人たちの言葉なども参考にしながら、「この人が、こう思うのは、何を経験してきたからだろう」と、一つ一つ紐づけていく作業をします。私は、役の“背景”が見えないと、演じられないタイプなんです。ただ、決めすぎても動きが硬くなってしまうので、そのバランスはすごく難しいです。

 沙都子は、「こういう人生を歩んできて」「今、こういう立場にいて」「こんなことで悩んでいるんだろうな」と考えていくうちに、ふっと何かが降りてくる瞬間があったんです。

――「書くことで自分を見つめ直す」という経験をされてきたからこそ、今回の沙都子には共感する部分も多かったのでは?

 もうすぐ35歳になるんですが、この年齢は、仕事が「できて当たり前」になってくるんですよね。20代の頃みたいに、手放しで褒めてもらえることも、だんだん少なくなります。

 沙都子も、きっと自分のキャリアと真正面から向き合う瞬間がたくさんあると思うんです。「私、このままで本当にいいんだろうか?」と、ふと立ち止まってしまうような。

 本人は毎日がんばっている。でも、まわりから見ると、それが当たり前になってしまっている。自分の年齢と、これまでのキャリアと、今の立ち位置。その3つの間に生まれるギャップに、戸惑う瞬間があると思うんです。

 今の私は、まさにその変換期のグラデーションの中にいる感覚です。「あ、こうだったっけ? いや、こうだっけ?」と、自分の中で一番揺れるゾーン。沙都子は、たぶんそのど真ん中にいる人なんだ、と共感しました。

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有村架純(ありむら・かすみ)

1993年2月13日生まれ。兵庫県出身。2015年『映画 ビリギャル』で第39回日本アカデミー賞新人賞と優秀主演女優賞をW受賞。同年同作と『ストロボ・エッジ』でブルーリボン賞主演女優賞を受賞。2022年『花束みたいな恋をした』で第45回日本アカデミー賞 最優秀主演女優賞を受賞。『ナラタージュ』『月の満ち欠け』『花まんま』など、ドラマはNHK朝ドラ「あまちゃん」「ひよっこ」、大河ドラマ「どうする家康」、月9「海のはじまり」、日曜劇場「GIFT」、Netflix「さよならのつづき」など多数出演。

衣装クレジット

ジャケット 176,000円、パンツ 107,800円(ともにforte_forte/03-5216-6518) シューズ 157,300円(JIMMY CHOO/0120-013-700) ネックレス 22,000円、リング(右手小指) 28,600円、リング(左手中指)26,400円(kou/info@kou-jewelry.com)

映画『さとこはいつも』

監督・脚本 沖田修一
キャスト 有村架純 石田ひかり 姫野花春ほか
配給 ハピネットファントム・スタジオ
2026年9月18日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほかで公開予定

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