20歳でふと立ち止まったときに…

――沙都子は、仕事も恋愛も思うようにいかず、スランプの真っただ中にいます。有村さんご自身も、これまで俳優としてスランプの時期はありましたか?

 今はスランプに直面しても自然と受け流せるようになりましたが、仕事を始めたばかりの頃は、やはり悩むこともありました。17歳で上京して、いただいたお仕事には真剣に向き合ってきましたが、20歳になった時、ふと立ち止まったんです。

 「このままでは、俳優を続けていけないかもしれない」と。何か根本的に、足りないものがある。変わらなきゃ、そう感じた時期でした。そんな頃、「芝居をする覚悟ができていない」と当時のマネージャーさんに、ストレートに言われたんです。

 昔の私は、自分の気持ちを言葉にして誰かに伝えるのが、苦手でした。そんな私を見かねてか、マネージャーさんが「思っていることを、一度全部書き出してみたら?」とアドバイスをくれたんです。それから17歳から20歳ぐらいまで、毎日のようにノートに向き合っていました。自分が何に悩み、何を感じているのかを、紙の上で自分自身に語りかけるような感覚です。

――毎回緻密な「役づくりノート」を作られているそうですが、その時の「書く習慣」が、今の役づくりスタイルの原点になっているのかもしれませんね。

 そうなんです。書くことで、自分という人間を少し知ることができたような気がしましたし、芝居の面でも助けになりました。そこから、毎回作品ごとに「役作りノート」を作るようになったんです。沙都子を演じる時も、同じように“役作りノート”を作りました。書くことは、私にとって、自分を整える作業でもあるし、役の扉を開くための、最初の鍵でもあるんです。

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