日本の空間は水平方向へ広がる
1階にある宿泊者ラウンジでは、日本の伝統的空間づくりを継承した。高さ制限があるため、ここでは天井高が充分に取れない。ならばと榊田氏は、水平方向へ広がりを持たせる空間構成を試みた。
室の半ばから長い庇が伸びるがごとく天井に傾斜をつけ、人の視線を開口部へと自然に誘導。家具や装飾などあらゆる設えも、視線が水平方向へ導かれるよう工夫してある。
「この室内は、椅子に座ったときの視線の高さを基準に設計し、空間の重心をぐっと下げています。それにより深い落ち着きが生まれます。低い視点と水平志向は、もともと日本建築が持つ特性です。日本の古い建築から多くのヒントを得ました」(榊田氏)
窓外に目をやれば、庭の景が見える。面積は小さいが、植栽や垣の配置を考え抜き、祇園の町並みを感じる豊かな広がりを持つ眺めが生まれた。
CREA Traveller 2026年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
