望海風斗さんが2025年に全身全霊で挑んだ2つの舞台作品が『マスタークラス』と『エリザベート』。数々の賞を獲得するきっかけとなった2作品への出演は、望海さんの女優人生にとって、大きなマイルストーンとなったはず。まだ記憶に新しいこの2作品について望海さんに振り返っていただきながら、最近のハマりものについてもお伺いしました!

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宝塚OGの方々からの愛に包まれて乗り越えた『エリザベート』

――2025年後半から2026年前半はシシィ役として『エリザベート』に出演されました。無事に完走されたところで、望海さんの感想を聞かせてください。

 多くの方々が育ててこられた『エリザベート』という作品に私も携われたことが本当に幸せでした。皆さんがいろいろな思いを込めてつくってきたもので、もちろんそのすべてを感じることはできないですが、私も真摯に作品と向き合うことで、今まで繋げてくださった方への感謝の気持ちと、そこからまた自分が繋げていけるようにという気持ちを持ちながらやっていました。

 本当に素晴らしい作品なので、何回やっても飽きない。そして、毎公演新しい発見があるんです。共演者もダブルやトリプルキャストで変わっていくので、毎日のやり取り、心を通わせることがすごく楽しくて。

 そして、あの素晴らしい音楽がやはり『エリザベート』の魅力なんだと改めて思いました。数々の名曲を歌うことができたのは、本当に幸せだったと思います。

――お稽古のとき、そして開幕してからを比べると『エリザベート』という作品は望海さんが思っていたものとは違っていましたか?

 皆さん『エリザベート』に対しての想いをいろいろとお持ちだと思うんです。実際に携わる前はすごく“怖い”という気持ちがあったのですが、いざ向き合ってみたら本当に深い作品で。やればやるほど、嚙み締めるたびに味わい深い“するめ”みたいな作品だなと(笑)。

 まだこの作品に対して、どんな感想を持つのが正しいのかはわからないですが、そこが魅力なんですよね。やる前より、さらにこの作品のファンになりました。

――今回はトート役が3名いらっしゃいましたが、井上芳雄さん、山崎育三郎さん、古川雄大さん、それぞれどんなトートだったのか教えてください。

 芳雄さんは帝王感に溢れていましたね。ちょっと隙を見せたら、命を狙われそうな、圧倒的なパワーがありました。でも、その中でも見守ってもらっていた気がします。それは私がこの大作に挑むということに対しても、そうです。帝王感があり、怖さもありつつ、見守ってくれたという印象です。

 育三郎くんは情熱的。シシィをひと目見た瞬間に恋に落ちたんだなというのが分かるというか……。愛ゆえの怖さを持ち合わせたトートだったと思います。愛を見せてくれるからこそ、そこに気を許した瞬間に気付いたら死んでしまうんじゃないか、という怖さと温度のあるトートでした。

 古川くんは変幻自在なトートでした。稽古場、東京公演から福岡公演まで一番長い期間やられているので、いろんなことを試している感じでしたね。トートの歌もそうですし、お芝居も細かく、常に挑戦していろいろな変化を見せてくださり、これだけずっと演じているのに、まだまだ引き出しがあるんだなとそこから刺激をいただきました。本当に変幻自在なトートだったと思います。

 お稽古から考えると半年くらい『エリザベート』の世界にいましたが、終わっちゃうとあっという間だった気もしますね。

――Wキャストの明日海りおさんとは逆に本番ではお会いできないですよね。

 実は、大阪と博多公演は楽屋が一緒だったんです。舞台稽古は一緒でしたし、マチネとソワレで入れ替わるときなど「今日はこうだったね」とちょっとした話をしていました。宝塚時代の「タカラヅカスペシャル」などで楽屋が一緒だったので、そういった時間を思い出しましたね。あとは、トレーナーさんに体をほぐしてもらっているときに、別室にいるさゆみちゃん(明日海りお)の声を聞いて、「今日、さゆみちゃん元気そうだな」って思ったりとか。

 そういえば、タータンさん(香寿たつきさん)が私とさゆみちゃんの2人を誘って、博多で焼肉に連れて行ってくださったんです! それがすごく嬉しかったです。

――ほかにも、共演者の方々に宝塚OGの方がたくさんいらっしゃいますね。

 はい、涼風真世さんもそうですし、未来優希さんもそうです。ずっと『エリザベート』に出演されている方々ですし、涼風さんはエリザベート役もされています。私たちが初めて参加するということで、お稽古場からすごく温かく見守ってくださいました。特に何か仰るというわけではなく、そっと見守りながら、何かあると「大丈夫?」と声をかけてくださる。

 そんな、先輩方の愛というのを要所要所で感じる機会がたくさんありました。タータンさんと涼風さんが演じられたゾフィーなんて、舞台上ではあんなに怖いですけれど(笑)、本当に助けていただいたんです。皆さんの優しさを本当に毎日感じていました。

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