地方公演での合間に巡るカフェが新たな趣味に

――読売演劇大賞の最優秀主演女優賞、そして大賞の受賞、さらに芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞と2025年に出演された『マスタークラス』と『エリザベート』で多くの賞を獲得されました。2025年はどんな一年でしたか?

 去年の今頃を思い出していたのですが、それまでの自分が本当に想像していなかったところに来ているよ、というのはあの時の自分に言ってあげたいですね。本当に怖くて、ビビっていたんですよ(苦笑)。この2作品はただただ真っ直ぐ突き進むということができた作品だったので、あのとき怖がっていた自分に声をかけてあげたい。

 でもあのときの“怖がっていた自分”があったからこそ頑張れたのかなと思いますし、作品との出合いもそうですが、たとえば『マスタークラス』でいうなら、日本で初演をされた黒柳徹子さんにお会いできたり、演出家の森新太郎さん、そして初演から翻訳に携わっておられる黒田絵美子さんなど、本当に多くの方にお会い出来て、さらには導いていただいたので、その出会いもすごく大きかったです。

 『エリザベート』に関しては、やはり小池修一郎先生をはじめ、音楽監督の甲斐正人先生やさきほどもお話したOGの方々やトートのお三方、そして周りのすべての方々に助けられて乗り越えられたので、皆さんに心から感謝しています。

――一年を通して、身体のメンテナンスなどはいかがでしたか? 特にタイプの違うお芝居を長くやられていたので、大変だったのではありませんか?

 マリア・カラスもシシィもすごくエネルギーのある役だったので、その役を生きているときは舞台の上にいなくてもその役のエネルギーみたいなものがあるんです。だから、結構自分が元気だと思って出かけちゃうんです。まだまだ体力が余ってる!みたいな感じで。有り余っている体力を使わなきゃと思っちゃうので、公演がすべて終わったあとに、ドッと疲れ来るというのはありましたね。

 今回はしっかり整えて突き進みたいという気持ちがあったので、気を付けて、ちゃんとメンテナンスを受けるようにしていました。『エリザベート』に関しては普段からお世話になっているボディトレーナーさんが入って下さっていたので、喉の状態をずっと見てもらえたというのはとてもありがたいことでした。

――Instagramでよくカフェに行かれていたのを拝見していました!

 Wキャストなので、時間があるんですよ(笑)。何をしようかなって思って。

――北海道公演の間は、よくひとりカフェのストーリーをアップされていた気がします。

 劇場のスタッフさんが美味しいお店を楽屋のホワイトボードに書いてくださっていたんです。ご飯屋さんだとひとりではなかなか行けないし、行っても美味しさを共有できないから悲しいじゃないですか。でもカフェならひとりで行くのが楽しいかなと思って、そこからカフェに行くのにハマりました。ソワレだったらソワレまでの時間をちょっとゆっくりと過ごす、という感じで。訪れた土地でカフェを探すのがすごく楽しみになっちゃいましたね。

――最近はお酒よりもカフェなんですか? 以前、ナイトキャップをしていいお酒を飲むとおっしゃっていました。

 ナイトキャップも続いています(笑)。最近、赤ワインを飲めるようになったんです。あんまり飲めないと思っていたのですが、タータンさんたちと焼肉に行ったときに「肉には赤だよね」って赤ワインを頼んでくださり、それが美味しくて! そこからハマってしまい、博多に滞在している間に熊本に行って、ワイナリーに連れて行ってもらったのですが、そこで飲んだ赤ワインもすごく美味しくて。白よりも、ちょっと罪悪感なく飲める気がするんですよね、ポリフェノールが体に良さそうで(笑)。

――観劇もされているようですね。

 この間、雪組を観に行きました!

――花組では8年ぶりの『エリザベート ~愛と死の輪舞』が上演になりますが、花組時代にはルキーニを演じ、ガラコンサートでトート閣下、そして東宝版ではシシィを演じられてすでに“エリザベートマスター”になった望海さんにぜひ、後輩の皆さんにアドバイスを!

 本当に大変な作品ですし、久しぶりに宝塚で上演するのでプレッシャーがあると思うのですが、やはり音楽がとても素晴らしいのでぜひ楽しんでほしいなと思うんです。どこのどいつが言ってるんだっていう感じだと思うのですが(笑)、でも私自身が音楽に助けられたので、皆にもそれを感じてほしいというのがあります。

 やはり上演しないと伝説も生まれていかないので、次に繋ぐためにも、そこは気負わずに挑戦してもらえたら。そのとき、そのときで作品を上演していくことが大切だと思うので。とにかく楽しんで演じてくれるのが一番いいなと思います。

望海風斗(のぞみ・ふうと)

1983年10月19日生まれ、神奈川県横浜市出身。2017年に宝塚歌劇団雪組トップスターに就任し、三拍子揃った実力の中でも、特に歌唱力に秀でた男役として活躍。退団後は、2025年に自身初のストレートプレイとなる『マスタークラス』でマリア・カラス役を、初出演した『エリザベート』ではタイトルロールとなるエリザベート役を務め、第33回読売演劇大賞にて、最優秀女優賞および大賞を、さらに同作品にて文化庁・第76回芸術選奨演劇部門・文部科学大臣新人賞を受賞。

ミュージカル『神経衰弱ぎりぎりの女たち』

原作:ペドロ・アルモドバル
(映画「神経衰弱ぎりぎりの女たち」)
脚本:ジェフリー・レーン
音楽/歌詞:デイヴィッド・ヤズベク
翻訳/訳詞/演出:上田一豪

出演:
望海風斗
秋山菜津子
和希そら
長井短
溝口琢矢
黒川桃花
遠山裕介
髙嶋政宏 ほか

東京公演 2026年6月7日(日)~21日(日) 日本青年館ホール
福岡公演 2026年6月26日(金)~28日(日) 博多座
大阪公演 2026年7月2日(木)~6日(月) SkyシアターMBS
愛知口演 2026年7月10日(金)~12日(日)  御園座
https://www.shinkeisuijaku.jp/

衣装クレジット:ジャケット、シャツ(ローレンラルフローレン)スカート(ケイタマルヤマ)イヤリング(アビステ)靴(MANGO)

最初から記事を読む 「多分、一生無理ですね…」演劇賞を総ナメ!存在感を増す...