まるで『ハリー・ポッター』のような世界観!
彬子さまの留学時代を彩るのは、イギリスでもっとも長い歴史を持つオックスフォード大学の魅力と、それを有する学園都市オックスフォードの街と文化だ。世界中から教授や学生が集まって伝統と多様性が同居している一方、中世から残る美しい建物が街中にある。
「オックスフォードの建物自体がものすごくパワフルというか、美しくて、こういうものに囲まれて学ぶのはわくわくするだろうなと思いました。内装も重厚感があってすばらしい。緑や川など自然も豊か。やはり景色そのものに魅力があります。
イギリスの古き建造物を背景に、日本の皇室という世界を描けるのが、両方に興味がある自分としても良かったなと思うし、ものすごく面白いことだなと」
読者は思う存分池辺さんの描くオックスフォードの美観を眺め、うっとり楽しむことができるが、池辺さんが絵で再現しなくてはいけないもの――街並みや建物はもちろん、インテリア、調度品、食べもの等々、難易度がいちいち高い。しかも、池辺さんはアシスタントさんを使わずに、全部おひとりで、アナログで描くと聞いて仰天した。
「私は『ハリー・ポッター』の世界観が大好きなので、映画に出てきた大広間にとても憧れていました。殿下のコレッジの食堂は、まさにあの世界そのものらしくて、最初は単純に自分で絵にできるのがうれしいと思っていたんですけれども、実際にやってみると想像以上に大変でした。
ただ、せっかくいい資料をたくさんいただいているので、そうした魅力をちゃんと出さないとマンガにする意味があまりないのかなと、ちょっとがんばっているんです(笑)。資料の他に、YouTubeやGoogle Mapsでオックスフォードを旅したりできるので、IT技術に感謝しています」
本書では、各話のタイトルにも注目してほしい〈第1話 烏羽色のはじまり〉〈第2話 桜色の幼少期〉……と、色にちなんだサブタイトルがつけられている。
「実はすべて殿下がつけてくださっています」
すべて和色から取られている。にわかには想像のつかない色もあるが、連載されているWebマンガサイト「くらげバンチ」には載っていないので、単行本を手に取った読者だけのお楽しみだ。
「連載と少し構成を変えたこともあり、あらためてつけてくださらないだろうかと、これも編集さんの尽力なんですが、快く引き受けてくださったと聞いています。すごくセンスがいいし、莫大な知識量を感じますよね。いろいろなことを勉強して吸収して、さらに伝えることに尽力していらっしゃるのを感じています。
殿下はいま研究者でもいらっしゃるので、教えたりもされるし、もともと日本文化についての造詣は深い。『和樂』(小学館)や『Casa BRUTUS』(マガジンハウス)で連載もされているので、そういう積み重ねがエッセイの楽しさにもなっていらっしゃる。言葉も表現も美しい。なにより人がお好きなのかなと感じるんですよね」
