放送終了後にファンが内容をリライトしてnoteなどに投稿することでも人気な、生配信サービス「TwitCasting」の怪談語りチャンネル「禍話(まがばなし)」。同番組で語られる実話怪談の数々は、有名ホラー小説家たちもがリライトに参加してしまうほどに高品質なものばかりです。

 今回はそんな禍話から“ビニール袋”に言い知れぬ恐怖を覚えるという先輩と出張に出かけた、ある会社員の身に起きた奇妙な出来事をご紹介します――。

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先輩は小学校時代の最寄り駅での思い出を嬉々として語り…

「それは……なんとも不気味な思い出ですね……」

「でしょ」

 好奇心に突き動かされて話を聞いたのはいいものの、そのあまりに奇妙な体験談にEさんの気分はどんよりと落ち込んでいました。

 一方のAさんは妙にスッキリした表情で酒の缶を空けていたそうです。

「でね、当時地元の●●駅のホームで俺たちさ」

 あんな話をした後だというのに、その後小学校時代の最寄り駅で起きたというあどけないエピソードまで嬉々として語るAさん。

 そうこうしてお酒を全部空け終わったところで打ち上げはお開きとなり、Eさんは先輩に別れを告げて部屋を出ると、廊下を少し歩いた先にある自室に戻りました。

 ベッドに倒れ込むと浮かんできたのは、Aさんの妙に明るい笑顔。

 幼少期のトラウマに対処するために無理して笑っていたのかもな……――Eさんの心には自らの軽率な好奇心への反省が徐々に湧き上がっていました。

 ため息をついて横を向いたとき、机の上に置いていた空き缶をまとめたレジ袋に目線が吸い込まれたそうです。

「……あんなもんがトラウマだなんて、キツイだろうなぁ」

 空き缶を眺めている内にふと気がついた喉の渇き。

 ホテルに備え付けの水でもよかったのですが、Eさんは喉をスッキリさせる炭酸水が無性に飲みたくなりました。

「……ロビーに自販機があったか」

 Eさんは気だるさを振り払うように体を起こすと、財布とスマホ、そして部屋のキーを掴んで廊下に出ました。

次のページ 廊下で“聞こえた気がした”ビニール袋の音