バイトの初日に盗みを決断
弁護人「検察官が朗読した起訴状に間違いはありませんね?」
被告人「……」
何かを喋ってはいるけど、証言台に置いてあるマイクを通しても全く聞き取れない声量なのです。しかも、マスクをしてるので防音対策までされている有様。
裁判官「全く聞こえないので、もう少し大きい声で話して下さい」
被告人「…間違いありません…」
と、なんとか力を振り絞って小さな声で返答です。法廷で「被告人の小声を聞くために音を立てるのは禁止」というルールが確立した感じ。
弁護人「最初の犯行を行った日は、勤務の初日だったと?」
被告人「…はい…」
弁護人「盗もうと思ってここで働き始めたわけではないですよね。盗もうと思ったのはいつですか?」
被告人「…更衣室に…入ってから…になります…」
まさか、バイト初日にロッカーから盗みをするとは。
弁護人「計画したものではない、と。いままで同じようなことをしたことありますか?」
被告人「…ないです…」
弁護人「犯行の動機がお金に困っていたから、と。お金がないということ以外に何か考えてましたか?」
被告人「いや…これから…どうしようかな、と…」
弁護人「盗まれた人は困るだろうなとか、考えなかった?」
被告人「あ、考えました……」
弁護人「え? お金がなくて、この先どうしようとか、自分のことしか考えてなかったんじゃないの?」
被告人「……ん~、考えてました」
さっき自分が答えた内容を取り消すような返答です。静かな法廷で緊張しているんだろうなぁと思っていたのですが……。
