いちばん忙しかったのは50代の頃

近田 物書きに転身するに当たって、ペンネームを平仮名表記にしたのは、何か理由があったわけ?

こぐれ 話は遡るんだけど、結婚した時に、小暮のお母さんが、小暮秀子っていう名前は字画がよくないって言い出したわけ。

近田 そうなんだ。なかなかいい字面に思えるけどね。

こぐれ それで、中目黒にいた田上晃彩(たがみこうさい)っていう有名な姓名判断の先生に相談して、新しい名前を決めてもらってきたのよ。

近田 何て名前だったの?

こぐれ 小暮多美。タミって読むんだけど。

近田 ええっ、タミ?(笑)

こぐれ 田舎臭くない? でも、小暮のお母さんは、いい名前だからって言って、その名前で20万円入った銀行の通帳まで作ってきて、私にくれたのよ。

近田 マネーロンダリングだ何だのといった問題があって、今の銀行は本人確認が厳しいけど、昔はゆるかったからね。ペットの名前で口座作る人とか、いたもん。

こぐれ 結局、またたく間に20万円は使い切り、小暮多美を名乗ることは一度もありませんでした。

近田 最高!(笑)

こぐれ ということで、後になって、漢字の字画が悪いんなら平仮名にすればいいんじゃないかと思ったのが、現在のペンネームを名乗った理由です。

近田 描いたり書いたりしてる内容と、平仮名の柔らかさはとても合ってると思うよ。成功の一因になったんじゃない?

こぐれ うん。そうだといいんだけど。

近田 著書の数も膨大だから、相当忙しかったでしょ。

こぐれ うん。あんまり大変だから、泣いちゃったことあるもん。「私、何でこんなに忙しいの?」って。結局、50代が一番多忙だったんじゃないかな。

次のページ 猿楽町の一軒家に住み続け…