“最新だけど最古”のホテルでレトロを堪能

ゴール・フェイス・ホテルの新しくなったノースウィングのプレミアルームのプライベート・テラスからの眺め。シービュールームからは美しいサンセットが堪能できる。

 スリランカ観光の人気が高いことは、ホテルのオープンラッシュを見ても分かる。ナンバー1都市のコロンボにも去年、一昨年と新しいホテルが続々とできた。来年2017年にはシャングリ・ラ ホテルがオープン予定。インターナショナルなホテルチェーンにとっても、スリランカは重要拠点になってきたようだ。

 そんな中、由緒あるゴール・フェイス・ホテルも、去年の秋にリノベートを終えた。

ノースとサウスの両ウィングを結ぶ回廊は、インド洋からの風が抜けてとても心地よい。
英国のフィリップ殿下が来訪した際に愛用されたクラシックカーも飾られている。

 “スエズ運河以東、最も古い歴史を持つ”このホテルは、インド洋に面したコロニアル建築の魅力的なホテルだ。1864年にオープンしたこのホテルには、エリザベス女王や昭和天皇も宿泊。ホテル内に、自らの歴史を伝えるミュージアムを持つという老舗だ。

 もっともサウスウィングは2006年に改装され、そして今回、反対側のノースウィングがリオープンした次第。歴史は古いが、新しい。もっとも、今回のリノベートでいちばん注意を払われたのが、元のクラシック建築をできるだけ保存することだったという。だからエレベーターは創業当時の小さなエレベーターだし、かつて使用した食器などのアンティークが所々に飾られている。

こちらウージェニー皇后スイートの寝室。明るいけれど、豪華にして超優雅なインテリア。
かつてホテルで使用していた食器類が、アンティークとしてキャビネットに飾られている。この辺りに由緒正しきホテルの強みが漂う。

 このホテルは、所々顔をのぞかせるクラシックな部分が何といっても素晴らしいし、期待を裏切らない。コロンボには最新鋭モダンデザインのお洒落ホテルもあるのだが、この国の“らしさ”を存分に伝えてくれる空気が、このホテルには流れている。

 こちらが思わず荷物を持ちたくなるような、高齢なベルボーイだったり、バトラーの白手袋だったり……。日本でいう“昭和”を感じさせてくれる。あ、でもファシリティは最新。どこもピカピカで新しい。

左:ベルさんの制服、チューリップ袖でとても可愛い。黙々と荷物を運んでくれる彼らもまた、ホテルの空気をつくるのに一役買っている。
右:シックだがとてもシンプルな内装の部屋もあり。こちらはノースウィングのスタジオというタイプの客室。

 そして、何よりサービスは抜群。人当たりのソフトなスリランカの人々は、接客業に向いていると思うが、ときどきノンビリしていて客を忘れる(そんなところも“らしく”て嫌でもないが)。でもこのゴール・フェイスはさすが、節度のある緊張感を保ちつつ物腰柔らか、親切丁寧。感じの良さはピカイチだ。ゆったり優雅な旅を過ごしたい向きには絶対満足のホテルといえる。

左:図書室に置かれた本も、味わいのあるアンティーク本が混じる。新しい建物にホテルの歴史を封じ込めたような、そんなゴール・フェイスだ。
右:ホテルにはダイニングが6カ所もあるので、選び放題。こちらはプールバーの「カルテット」というメニュー。ちょっと幕の内弁当みたい。

Galle Face Hotel(ゴール・フェイス・ホテル)
所在地 2 Galle Road, Colombo 3, Sri Lanka
電話番号 011-2-541-010
URL http://www.gallefacehotel.com/

2016.02.02(火)
文・撮影=大沢さつき