死者すら出るという血まみれの騎馬戦とは?
島ではスンバ馬が今も交通手段として使われていますが、とりわけ活躍するのが、米作を控えた毎年2~3月に開催される「パソーラ」の儀式です。これは、槍を手にスンバ馬にまたがった男性が村ごとに集団になって戦う、いわゆる騎馬戦。ひとつの村につき100人以上のチームが編成されます。
この儀式では毎年、けが人が続出し、死者が出ることも。けれど流れる血の量が少ないと、成功したとはいえないのだとか!? 土地に滲みこんだ血によって、豊かな土壌になり、豊作が期待できると信じられているのです。
また、精霊信仰は、21世紀の現代も継続中。
村へ訪れると、とんがり帽子のような形をした“マラプ(精霊)の家”がにょきにょきと建っています。この家のとんがり部分はマラプのための神聖なエリアで、目に見える世界と見えない世界の架け橋。
村の中央には、権力者のための巨石の墓石が並んでいます。この花崗岩の墓石、平均6トンあり、大きいものだと20トンを超えるそう。かつては妻や奴隷、豚や牛、馬も一緒に埋葬されたそうで、今でも生贄の動物の数で栄華を競い、そのために破産してしまう家族もあるとか……。
2016.01.16(土)
文・撮影=古関千恵子