Magnificent View #779
端島(長崎県)

(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 長崎市の南西沖に浮かぶこの小さな島を、「軍艦島」という通称で知る人は多いだろう。端島は、明治半ばから昭和にかけて、石炭の採掘で栄えた島だ。

 もとは小さな浅瀬に過ぎなかったここは、明治23年に本格的な採炭が始まると環境が一変。急増する労働者を受け入れるため、島は段階的に埋め立てられ、面積は3倍にまで拡張。次々と近代的な街が形成されていった。

 大正初期には、日本初の鉄筋造りのアパートが誕生。島内には住宅のほか、学校や病院、店舗、美容院に映画館やパチンコ、寺院も完備された。島が最盛期を迎えたのは1960年頃。人口は5千人を超え、人口密度で世界一を記録するほどにまでなっていたという。

 だが、70年代に主要エネルギーが石炭から石油へと変わると、産業は衰退。1974年の炭鉱閉鎖で島民が島を離れてからは、無人島となった。

 以降、島は長く放置され、建物は徐々に崩壊。安全上の理由で島内への立ち入りも禁止されていたが、近年の廃墟ブームと、世界遺産に登録されたことから話題が沸騰。現在はツアーに参加すれば上陸することもでき、人気を集めている。

Column

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2015.11.18(水)
文=芹澤和美