今月のテーマ「女三人寄れば」
【MAN】
都内各地の銭湯でひとっ風呂
縁あって同じアパートで暮らすことになった女子三人が、浅草の蛇骨湯から始まり、北千住の大黒湯、上野の六龍鉱泉などをめぐっていく。相手の意向はおかまいなしに、ふた言めには銭湯に誘う野乃の過剰な人懐っこさ。髪を黒と金のツートーンに染めるのをやめたらモテそうなのに、そのスタイルを貫く岫子のねじれた女ゴコロ。人前で男をひっぱたくことには躊躇がないくせに、銭湯で裸になることには妙な抵抗を示すアリッサのズレた恥じらい。ちょっとイタい三者三様のエピソードが明かされていく。
作中、気になることもある。岫子が風呂屋でよく立ちくらみを起こすのもヘンだし、野乃だけが年齢不詳。野乃は何度も、幼い頃に銭湯をめぐる切ない思い出を回想する。事情を抱えていそうではあるが、男マンガで描かれる女同士の関わりは、マウンティングの嫉妬心とは無縁でほっとする。悩みもいずれ、お湯の中にふわり溶けていきそう。
『のの湯』(既刊1巻) 釣巻和・著 久住昌之・原案協力
風呂なしだけど銭湯入り放題の特典付き木造アパート「湯毛荘」に住まう三人は、女だてらに浅草で車夫として働く鮫島野乃、管理人の孫で人間関係ベタな湯毛岫子、日本語ペラペラの変わった留学生アリッサ・リベラ。野乃に引っ張られ、銭湯ライフが始まった!
秋田書店 600円
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2015.10.06(火)
文=三浦天紗子