旅館道 その3
「旧東海道“裏箱根”の楽しみ方を総支配人に聞く」

懇切丁寧に“裏箱根”の魅力を説いてくれた総支配人・池上真敬さん。

 箱根と聞くと、浅間山を望み、小田原から強羅に向けて箱根登山鉄道で上って行くルートがまず思い浮かぶかも。こちらを“表箱根”とすると、箱根湯本から「星野リゾート 界 箱根」が立つ緑濃い旧東海道を行くルートは、“裏箱根”と言えそう。「星野リゾート 界 箱根」の総支配人・池上真敬さんに聞いた。

――旧東海道は深山幽谷の趣きがありますね。

「雨が降れば霧が立ち上り、晴れれば木々が色鮮やかで、新緑から紅葉まで美しい街道です。『星野リゾート 界 箱根』から上って行くと、途中に江戸時代の石畳の道も出てきます。寄木細工の里である畑宿があり、一里塚や七曲がりという難所など、江戸時代の人が歩いた旧街道をゆっくりと歩く方もいます。峠を越えて元箱根まで行けば、芦ノ湖のほとりに立つ九頭龍神社と富士山の美しい眺めが楽しめます」

濃淡の緑の山に霧がかかって雨上がりもまた美しい“裏箱根”。

――おすすめの立ち寄りポイントは?

「石畳の道の近くにある、江戸時代から続くという『甘酒茶屋』が、昔ながらの方法で米麹と米だけで作った甘酒を出していて、おいしいです。砂糖を入れているわけではないのにほんのり甘くて、きっと昔から峠を上って来る人も、ここで一息入れて箱根越えをしていたのでしょうね」

左:甘酒の文字が今も昔も峠を越える人を誘う。
右:囲炉裏もあって昔の面影そのままの店内。優しい甘酒は疲れた身体に沁み入る。

 昔から人々が行き来して、旅人に親しまれてきた箱根の地。その緑の癒しと温泉、旧東海道の趣きある道が心に残る旅だった。次回は、宿のあちこちに置かれて旅情緒を醸す箱根の寄木細工や小田原提灯について紹介する。

星野リゾート 界 箱根
所在地 神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋230
電話番号 050-3786-0099(界予約センター)
URL http://kai-hakone.jp/

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel

Column

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2015.08.03(月)
文=小野アムスデン道子
撮影=山元茂樹