無添加、無着色のピュアな南大東島産ラム酒

 それにしても、沖縄にはあちこちにサトウキビ畑があるのに、それを原材料とするラム酒がこれまでなかったのはどうしてだろう? それは、サトウキビは特産の黒糖を作るための貴重な原材料であるため。ましてや、泡盛が定着している沖縄では、ラム酒はなかなか広まらなかったという背景もある。

島の恵みがふんだんに詰まった南大東島産のラム酒、「COR COR」。

 「なぜ、沖縄ではサトウキビが原料のラム酒が飲まれないんだろう」。ひとりの女性のそんな想いから生まれたのが、南大東島で造られるラム酒、「COR COR(コルコル)」。沖縄本島から東に約360キロ。周囲約21キロに約1300人が暮らす南大東島は、昔からサトウキビの産地として知られる島だ。

 「グレイス・ラム」の代表取締役である金城祐子さんがゼロからラム酒造りをスタートしたのは2004年。カリブ海の真似ではない沖縄らしい味にこだわり、砂糖や香料、色素は一切添加しない、無添加・無着色のホワイトラムが誕生した。

左:グレイス・ラムの代表、金城祐子さん。「泡盛も、ラム酒も、お酒は大好きです」。
右:「COR COR」のラベルデザインは、南大東島の形がモチーフ。

 サトウキビは手刈り。工場も少数精鋭で、ラム酒の瓶詰めやラベル貼りは、すべて手作業で行われている。ラム酒造りを初めて10年が経ち、苦節を味わいながらも、「コルコル」は「沖縄のラム酒」として確固たるブランドを築くまでになった。

 その可愛らしいネーミングは、島の形に由来する。珊瑚が隆起してできた南大東島は、上空から見ると冠の形に見えることから、「珊瑚の冠(CORONA)」をイメージして名づけられたのだそう。ラベルの形は南大東島をかたどったものだ。

ラム酒ビギナーには、アルコール度数低めの「COR COR25」がおすすめ。コーラで割るのもおいしい。

 「コルコル」は赤ラベルと緑ラベル、アルコール度数25度と低めの「コルコル 25」がある。赤ラベルはスモーキーでパンチがあり、ラム酒好きに定評あり。アグリコール・ラムの緑ラベルはすっきりとした味わいで、日本酒や焼酎にもちょっと似ている。いずれも、ピュアなホワイトラムなので、まずはロックで。チビチビと飲むご褒美酒にもぴったりだ。

青い空と豊かな緑、透き通った海を思い出しながら飲む沖縄産ラム酒も、なかなかおいしい。

 造り手が想いを込めて造る、ウチナーのラム酒。ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブを聴きながら飲むハバナクラブもいいけど、登川誠仁(沖縄のジミヘン)を聴きながら飲む沖縄のラム酒もなかなか。沖縄の美しい景色を想像しながらチビチビと飲むと、なおのことおいしく感じるのだ。

グレイス・ラム
電話番号 098-941-3610
URL http://www.rum.co.jp/

芹澤和美 (せりざわ かずみ)
アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.serizawa.cn

Column

トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート

大都会から秘境まで、世界中を旅してきた女性トラベルライターたちが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたまま未公開だった小ネタをお蔵出し。地球は驚きと笑いに満ちている!

2015.06.16(火)
文・撮影=芹澤和美