たったひと口の前菜作りにも手間ひまを惜しまない

この日は、1回のクラスで前菜・スープ・麺類・デザートの4品のレシピを習得。メニューは曜日によって替わる。

 思い出だけではなく、スキルも持ち帰れる、タイならではの体験はいかが? マンダリン オリエンタル バンコクが開催している「オリエンタル タイ クッキング スクール」は、高級タイ料理の調理法をシェフから直々に習うことができ、レシピを持ち帰って自宅でも再現できる。タイ料理の文化と伝統に触れられて、しかも美味しい体験をいつでも繰り返し味わえるというわけ。

 タイ料理教室を開催しているホテルは今でこそ増えてきたが、最初に始めたのは、実はマンダリン オリエンタル バンコク。1986年から生徒を受け入れ、ノウハウを伝えている。ひとクラスはシェフの目が届く15名まで。4回や6回を連続して受講することもできる。クラスではシェフが、エピソードやセオリーを交えつつ、デモンストレーションを実施。鏡を使って手元がよく見える仕掛けがしてあるので、シェフから距離があっても心配無用。その後、受講者は実際に調理を行う。

左:シェフの手元の動きが、鏡に映る仕掛けに。
右:バナナの花弁にパッタイをよそる。プレゼンテーションにもこだわりが。

 クラスではタイの家庭で使われているココナッツの圧搾機や石臼など、見たことのない調理器具も使用。植物を使った自然の着色料で食材を染めたり、盛り付けにバナナの花弁を使うなど、手間をたっぷりかけ、味だけでなく美しさにも心をくばるタイ料理の奥深さに、改めて感銘を受けるはず。ひと口で終わってしまう前菜も、下ごしらえにこんなに時間をかけるものだったとは。

レシピとエプロンのプレゼントが。旅のすてきな思い出に……。

 一回のクラスは午前9時から午後1時までの4時間をかけて、4種類の料理を習う。できあがりは、みんなでテーブルを囲み、実食! 本格的な高級タイ料理を自分で作れたことに感動必至だ。さらに午後を使って、フルーツカービングやバナナの葉を使ったクラフト、タイのデザートを習うクラスもある。

2015.04.08(水)
文・撮影=古関千恵子