娘が少しずつ言葉を紡ぎ始めた1歳の終わり頃、「ママのお腹の中にいた時、何してた?」と聞いたことがあります。娘はキョトンとして、少し間をおいた後に頭を左右に揺らしながら言いました「ぐるぐるぐる~」。

 確かに娘はよくお腹の中で回転して、検診のたびに逆子になったり元に戻ったりして私をひやひやさせていたのです。

 これが本当に娘のその頃の記憶かどうかはわかりませんが、世の中には胎内記憶や産まれた時のことを覚えている子供が(大人も)たくさんいるらしいのです。

 妊娠中に、その調査を10年以上も続けている産科医の池川明先生の著書「おぼえているよ。ママのおなかにいたときのこと」を読みました。

 とても不思議な世界でした。胎内の子供たちは明確な意思を持ってそこに存在しています。そして、しっかり「見たり」「聞いたり」しています。ママがすっかり忘れていた妊娠中に見た景色や出来事を、産まれた子供の言葉で思い出すこともあるそうです。

 これらを科学で証明することは困難なことなので、「偶然」や「作り話」として流してしまうこともできるでしょう。でもそれではつまらない! 人間の力ではまだまだわからないことだらけだからこの世界は楽しいのです。

 その気持ちがさらに増したのは、友人から池川先生の別の本「ママのおなかをえらんできたよ。」をもらって読んだ時です。これは胎内記憶からまたさらに遡った、おなかに宿る前の魂の記憶です。

 そこで語るほとんどの子供たちは、お父さんとお母さんを自分で選んで空から降りてきています。雲の上に子供が3人いて、順番にママのおなかに降りようと話してきたと言って、自分の後に産まれる兄弟を言い当てる子もいます。

 私は妊娠中にそれらの本を読んで、おなかの子が愛しくてたまらなくなりました。産まれた後、その記憶があるかないかは重要ではないのです。この子の魂は意思を持って私のもとにやってきて、お腹に宿っている間は私の心にぴったりと寄り添っていてくれている。そう思うだけでどんなに勇気付けられたことか。ちょっとした行き違いで旦那と大げんかした後、一人部屋で泣いている時には、温かい小さな手が優しく頭を撫でてくれているように感じました。この子が産まれてからこの事を覚えていたら恥ずかしいなぁと思いながら、私はその夢心地のまま眠ってしまいました。

2011.10.06(木)
text:Miki