Magnificent View #344
ヘレンキームゼー城(ドイツ)

(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 「狂王」の異名を取ったバイエルン王ルートヴィヒ2世は、その治世において、ノイシュヴァンシュタイン城をはじめ、豪奢な城をいくつも建造した。

 そのひとつが、1878年から建設が始まったヘレンキームゼー城。ミュンヘンとザルツブルクのちょうど中間に位置するキーム湖に浮かぶ、ヘレンインゼルという名の小島に立つ。

 ルートヴィヒ2世は、フランスの太陽王ルイ14世に心酔していた。その思いが高じ、この城は、ヴェルサイユ宮殿を完璧に模倣することを目的として築かれたのだ。

 ご覧の写真は、ヘレンキームゼー城の「鏡の間」。確かに、ヴェルサイユの同名の回廊と瓜ふたつである。ただし、こちらは本家より8メートルばかり長いんだとか。

 王の誇大妄想から始まったこのプロジェクトは、1886年に訪れた彼の急死によってピリオドを打たれる。70ある部屋のうち、50室は今にいたるも未完成だという。

Column

今日の絶景

この広い地球上には、まだまだ知られざる素晴らしい景色がある。思わず息を飲んでしまう雄大な自然、ミステリーにあふれた驚きの奇観、そして、人間の文明が刻んだ偉大な足跡……。ここに、選りすぐりの絶景をお届けします。さあ、ヴァーチャルな世界旅行へと出かけよう!

2014.09.09(火)