東京都庭園美術館で、20世紀を代表するイギリスの陶芸家ルーシー・リーの回顧展「ルーシー・リー展―東西をつなぐ優美のうつわ―」が開催されている(~9月13日まで)。国内では約10年ぶりとなる回顧展の見どころについてレポートする。


ルーシー・リーと日本・東洋のつながり

 20世紀を代表するイギリスの陶芸家ルーシー・リー(1902~1995年)。オーストリア・ウィーンで生まれ、ウィーン工芸美術学校で轆轤(ろくろ)を用いた制作に魅了され、陶芸の道へ。第二次世界大戦下、ナチスからの迫害を逃れるため亡命を余儀なくされると、作陶の場をイギリス・ロンドンに移し、さまざまな作品に巡り逢いながらインスピレーションを得ていく。

 日本でも人気な陶芸家の一人だが、その火付け役となったのがデザイナーの三宅一生だ。三宅はロンドンで見かけた書籍の表紙に掲載されたリーの作品に魅了され、彼女の工房を訪問。その出会いが日本での個展開催へとつながり、1989年に草月会館で行われた展覧会で一気に知名度が高まった。それ以降も2010年、15年の大規模な展覧会を経て、日本でも高い支持を誇るようになる。

 東京都庭園美術館で開催中の「ルーシー・リー展―東西をつなぐ優美のうつわ―」では、ウィーンで出会った建築家・デザイナーのヨーゼフ・ホフマンや、イギリスの陶芸家で日本にも縁のあるバーナード・リーチ、共同制作のパートナーとなるハンス・コパー、そして日本の陶芸家・濱田庄司らの作品をあわせて展示することで、リーの作品を時代や出会いから紐解いていく。

 「東西をつなぐ」と題されるように、同展ではリーの影響源のひとつとして、東洋の陶磁器が数多く展示されている。リーと東洋の邂逅について、担当学芸員の勝田琴絵さんに聞いた。

「彼女がロンドンに渡ったとき、イギリスの陶芸界ではバーナード・リーチが中心的な役割を担っていました。民藝運動に関わっていた彼を通して、リーも中国や朝鮮の陶磁器、日本の陶磁器との出会いを得ていきます。特に、中国の宋時代の陶磁器に特徴的な、シンプルで首の長い花瓶のバランス感を、自身のスタイルに取り込んでいったと考えられています」

 小さな高台、大きく広がる口縁、薄く流れるようなフォルム。リーの作品からは、宋代の陶磁器を中心にした東洋の美を吸収し、洋の東西が入り混じる潮境の中で、自らの作風へと昇華していった軌跡を読み取ることができる。

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