あなたの美意識を探しに行く

 まずは、自分が何を目の保養にしているかを可視化していきます。なぜなら、そこにあなたの奥底に隠れている美意識が現れるからです。立ち上がらずに、無料でできることから実践していきましょう。

 スマホでインスタグラムやピンタレストを開いて「ファッションコーデ」「fashion inspo」などと検索して、目に飛び込んでくる画像や動画を眺めてください。男性は、「メンズ」「men’s」と加えるのをお忘れなく。

 英語で検索をかけると、日本では見慣れないセンスのいい垢抜けファッションも出てくるのでおすすめです。「お! いいね」と思ったものは、どんどん保存してください。

 途中脱線して、ファッション以外のものを見ても大丈夫。その脱線にも、あなたの好きが隠れています。それもどんどん保存して。だって、ファッションは無彩色の背景紙の前でポツンと表現するものではありません。景色、都市、建物、インテリア、食べ物、時代、メイク、音楽、あらゆるものとひもづいているのがファッションです。

 「眺めて心地よいもの=目の保養」は、そのままあなたの自己表現の種になります。ここで大切なポイントがあります。目の保養と実際に自分が着たいもの、取り入れたいものは違っていいのです。むしろ、その違いを楽しむことが個性につながります。

 よく「外見は、自分の内面のいちばん外側」なんて言ったりしますね。そうです。いちばん外側の装いには出てこなくても、自分の内面のどこかに「こういうものに惹かれる」という美意識が眠っていることを自覚しているだけで、その人の個性にぐっとコクが出るのです。

 私の親しい友人に、クールでおしゃれな女性がいます。普段は黒い服を好んで着ていますが、それに合わせるアクセサリーのセンスがいつも秀逸で、遊び心があって素敵なのです。そんな彼女が数年前、世界中の毒々しくも鮮やかな生物を集めた展覧会「もうどく展」に行った話をしてくれたとき、私は妙に納得しました。

 彼女の装いの表面には出てこないけれど、彼女の卓越したセンスは、自然界の恐ろしいほどに鮮やかで美しいものによって養われていたのだと、腑に落ちました。

 その数年後、彼女は結婚しました。彼女くらいのおしゃれ玄人になると、男性側も勝手に指輪を選べません。彼女が婚約指輪に指定したのは、カルティエのヒョウをモチーフにしたデザインの「パンテール ドゥ カルティエ リング」(ご存じない人は、ぜひ検索してみてください)。思わず唸りました。

 「もうどく展」に出てくる生物ではないけれど、いつも黒づくめの彼女の内側に宿るワイルドなものへの偏愛は、ちゃんと左手の薬指に鎮座することになったのです。

 私のインスタグラムやピンタレストにも、到底私が着そうにないファッションや、取り入れたいとは思わないけれど気になるインテリア、メイクなどの保存がたくさんあります。それでいい、それがいいのです。

 さて、目の保養になる素材が十分集まりましたか? 次の項目では、あなたの無意識のなかにある「好き」を深掘りしていきましょう。


 続きは、書籍『コンプレックスを飼いならして「好き」を着こなす センスのトリセツ』でお楽しみください。

安井百合子(やすい・ゆりこ)

東京都出身。パーソナルスタイリスト・ファッションコンサルタント。「隠すを魅せるに変える」をモットーに、コンプレックスの取り扱い、チャームポイントを表現するメソッドやノウハウをファッション・ヘアメイク・マインドのトータルでコンサルティングするスタイリストとして活動。SNSではファッションコンサルティングの枠を超えたメッセージが共感を呼び、22万人以上のフォロワーから支持を得ている。

コンプレックスを飼いならして「好き」を着こなす センスのトリセツ

定価 1,760円(税込)
高橋書店
» この書籍を購入する(Amazonへリンク)

最初から記事を読む 「トドみたい」夫の一言が起業の原点に! SNS総フォロ...