旧暦の七夕なら、織姫は彦星に毎年会える!?

全国的に有名な「仙台七夕まつり」は旧暦の季節感に合わせるため、毎年8月6日~8日の間に開催されているそうです。

 子供の頃は、七夕にまつわる織姫と彦星の物語に心を躍らせ、7月7日の夜が待ち遠しかったものです。五色の短冊に願い事を書き、星に祈りを捧げるのですが、なぜか七夕の日は雨や曇りになることが多かった。「織姫さまと彦星さまは、一年に一度しか会うことを許されないのに……」と、子供ながらに理不尽な想いをさせられたことを覚えています。

 案の定、今年の7月7日も梅雨真っ只中で、お天気は全国的に曇りか雨でした。きっと多くの子供たちががっかりしたことでしょう。

 月の暦に興味を覚えていろいろ調べるうちに、七夕は本来ならば旧暦7月7日に行うものということがわかり、私はもうずいぶん前から、七夕は旧暦で行うことにしています。

 その昔、日本でも月の運行を元にした旧暦が使われていましたが、明治5年12月の改暦とともに、現在の太陽の運行を元にしたグレゴリオ暦に切り替わりました。それ以前の人々の暮らしは、月の満ち欠けに沿って様々な行事が行われていました。旧暦では新月は各月の1日、そして満月は「十五夜」と呼ばれるように各月の15日でした。新暦では、1日が必ずしも新月にはなりません。

 旧暦七夕の7月7日は、新月から始まって7日目の日を意味します。3日目の月は「三日月」ですからあの形よりもう少し月は満ちて、7日目の月は半月(上弦)に近づいた「七日月」ということになります。この頃の月は、正午頃に昇り、夜中頃に沈みます。つまり七夕の夜遅く、夜空を見上げる頃にはもう月は地平線の彼方に沈んでいて、天の川やこと座のベガ(織姫星)、わし座のアルタイル(彦星)がよく見えるはずなのです。新月から7日目の月だからこそ、星を見るのに適しているということがわかります。もし新暦の7月7日がたまたま満月だったら、夜遅くになっても月の光が眩しくて、天の川も多くの星も霞んでしまいます。

 それでは2014年の旧暦七夕はいったいいつになるのでしょうか。旧暦と新暦では約一カ月のズレがあります。新暦7月の新月は27日でした。この日が旧暦7月1日になるので、旧暦七夕は8月2日(土)です。この頃には全国的に梅雨も明け、夜には星空も見えるでしょう。

2014.08.01(金)
文=岡本翔子
写真(星空)=橋本篤