喜久雄と共に強くなっていった『国宝』現場
――『怪物』の是枝裕和監督、2024年放送のドラマ「からかい上手の高木さん」では今泉力哉監督、そして2025年の社会現象になった『国宝』では李相日監督というように、これまでタイプの異なる映画監督が手掛ける作品に出演されています。
それぞれ監督さんによって、演出の手法が違うので、おっしゃることが違ったりしますが、それはそれで全部正しいと思っています。
監督さんだけではなくて、俳優さんからいただく言葉も、僕にとってはすべて宝物です。自分の中で、咀嚼できない言葉も多くありますが、一旦頭の中の隅に置いておいて、いつか使える機会を探っています。
――ちなみに、『国宝』の李相日監督からは「(少年時代の喜久雄を演じるに当たって)強くなってほしい」と言われたそうですね。
じつは今泉さんからも、オーディションのときに何度も「(西片を演じるに当たって)強くなってほしい」と言われました(笑)。僕の中では西片って、ちょっと弱い男の子のイメージがあったので、どこか違和感がありましたし、すべて消化できてなくて、今でも考えているんです。李さんが言っていた「強い」と今泉さんが言っていた「強い」も一緒なのかどうかも分からないです。
――ちなみに、喜久雄のときは、どのようにして強くなっていったのでしょうか?
『国宝』のクランクイン前に、李さんに焼肉に連れて行ってもらったのですが、そのときに「喜久雄を演じるうえで、僕の中で違和感があって、この気持ち悪くて、むず痒い感覚はどうしたらいいんですか?」という質問をしました。
そのとき、李さんは「それは喜久雄の言動が悪いのか? セリフが悪いのか? もしくは君の感情の持って行き方が悪いのか? でも、そういうのを現場で擦り合わせて、少しずつ違和感をなくせばいいよ」と言ってくださったんです。
それで、現場でも少しでも違和感があったら、「もう一回!」みたいな感じで進めていきました。今までなかった経験だったので、強くなれた気がしましたし、自分が持ったことのない喜久雄の激しく強い感情に出会えたときも、強くなれた気がしました。
