この記事の連載
漫画家・まんきつさん インタビュー記事 #前篇
漫画家・まんきつさん インタビュー記事 #後篇
『そうです、私が美容バカです。極ツヤ』#1
『そうです、私が美容バカです。極ツヤ』#2
更年期の対処法でいちばん効果があったのは「運動」

――仕事に支障が出るのは厳しいですね。同時に、更年期の症状にも悩まれたようで。
私の場合はひざの痛みと四十肩と、老眼が一気に重なって。結局、更年期って“不調”の集合体なんだなと思うんです。
――これが「更年期」の入口だったんでしょうか。
そうかもしれません。毎日とにかくあちこち痛いし、体調も悪いしで、気持ちまでふさぎ込んでいました。冬場はとくにきつかったですね。それから、常に体がほんのり暑いし、突然現れた性欲に動揺したり……という状態が続いていました。
――婦人科も何軒か受診されたとか。
そうなんです。思い切ってホルモン療法を受けてみようと検査したのですが、ホルモンや血液の数値に異常は見られなくて。当時は1日2本くらいタバコを吸っていたのですが、その時に喫煙者はホルモン療法ができないと言われたんです。それで、漢方薬を処方されました。ただ、私には漢方薬は合わなかったみたいで。
そこからは、ワラにもすがる思いで更年期の対処法を独自に調べつづけて。ともさかりえさんがプロデュースしているマカのサプリメントを飲んだりしていました。マカというと男性が飲むイメージがありますが、更年期にもいいそうで、良かったですよ。あとはイソフラボンを摂らなきゃ! と思って納豆をいっぱい食べたり、「摂り過ぎもよくない」と聞いたら控えたり……。完全に迷走していましたね。
――更年期の症状も、対処法も、人によって全然違うから、「これがいいらしい」と聞いたものは片っ端から試したくなりますよね。
そうですよね。少しでも更年期の辛さを感じたら、一度は婦人科には行った方がいいと思います。ホルモンの数値を検査してくれますし、その結果に基づいて治療の方針も立ててくれるから安心です。
でもね、いちばん効果があったのは「運動」なんです。マンガにも描きましたが、筋トレをしている知人が更年期がまったくなかったと聞いて、歩くことにしました。四十肩が辛くてほかの運動ができなかったということもありますが、多いときで1日3時間、26,000歩くらい歩いた日もありました。
――すごい! 歩く時間はどうやって捻出していたんですか?
犬を飼っているので、朝晩の散歩の時間を長めに取りました。
――作中では「デスメタルをかけて、不安からくるザワザワを取り払っていた」とも描かれていましたが、本当にしんどいときって、音楽のスイッチを入れるのも、ベッドから起き上がるのも大変ですよね。どうやって1日、1日を乗り切ったのでしょう?
やっぱり犬の存在が大きかったですね。今の家に引っ越してきてから、家でトイレができなくなってしまったので、散歩に行かないとガマンさせてしまう。それはかわいそうで……。だから、とにかく外に出るきっかけを犬がくれたんです。
――なるほど。確かにお世話をしなければならない対象がいるって、大切なことかもしれませんね。犬を飼えなくても、植木の水やりとかでも効果がありそう。
あと、サウナもおすすめです。更年期の症状に直接効くというよりも、気持ちを切り替えるのにすごくいいんですよ。もともと好きだということもありますが、サウナに行くと元気になります。近場にもいい温泉がたくさんあるので、今も時間を見つけては通っています。
――自分の機嫌を取る方法を、いくつも引き出しとして持っておくと良さそうですね。ちなみに、いまの体調はいかがですか?

もうすっかり落ち着いています。ひざの痛みも四十肩もよくなって。めっちゃ元気です。閉経後にまた何か症状が出るかもしれませんが、その時こそはホルモン療法をやってみようかな、と。
――実はいま更年期真っただ中で、何もかもマイナスにとらえがちで……。
そうそう、更年期のときってやたらネガティブになっちゃうんですよね。私自身も更年期篇を描きながら、あまりにも内容がネガティブだから「これでいいのかしら」、「こんなの誰が読みたいんだろう」って思ってました。でも大丈夫。いつかは絶対に抜けますから。「そういう時期なんだな」と思って受け流すくらいでいいんです。
まんきつ
1975年、埼玉県生まれ。サウナ好きが高じてサウナを舞台に描いた漫画『湯遊ワンダーランド』(扶桑社)が2023年にドラマ化もされ話題となった。その他の著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)、『ハルモヤさん』(新潮社)など。現在はマガジンハウスSHUROにて『そうです、私が美容バカです。』連載中。
https://shuro.world/manga/biyoubakadesu/

そうです、私が美容バカです。極ツヤ
定価 1,210円(税込)
マガジンハウス
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2025.10.08(水)
文=河西みのり
撮影=平松市聖