小山の花火(栃木県)

変芯変化菊(へんしんへんかぎく):「芯入変化菊」ともいいます。中心の輪は紅色から開ききったときに光の先が銀色にゆれる「銀乱(ぎんらん)」になっていることから「変芯」と名付けられて、大きな輪は、青色からピカッと強い光を発する「光露(こうろ)」となっている「変化菊」です。一番大きな輪の周りに少しだけ小花がありますが、これはこの花火の前に打ち上げられた千輪の小花が写り込んでいるものです。

 小山の花火は、打上げ場所と観覧席が非常に近く、尺玉の連発打上げやワイドスターマインをはじめ、市民参加のナイアガラ瀑布など、迫力のある花火が間近で体感できるのが魅力です。

 栃木県小山市の中心を流れる清流・思川(おもいがわ)を会場に開催し、しかも「小山駅」から徒歩約8分という好条件の花火大会です。

 1950(昭和25)年の戦後間もない頃に、お盆の灯ろう流しに花火を添えて好評となったことから開催されています。1954(昭和29)年には小山町から小山市になり、花火もまた町から市へと受け継がれて規模の大きな花火大会となりました。いまでは関東有数の規模を誇る花火大会だといわれています。

 花火大会の前日にはオープニングカーニバルとして、市役所駐車場周辺で多彩なイベントが開催されます。

 2011年(平成23年)の「第60回小山の花火」のパンフレットには、「60回 還暦の今昔を偲んで 真夏の夜空を光と音で彩る 夢と希望をのせて六十回」という見出しがありました。市民の「夢と希望」は私たち観覧者にとっても「夢と希望」になります。

 私は小花が一斉に咲く千輪菊の花火が好きです。この「小山の花火」のラストが一斉に咲く千輪菊のワイドスターマインなのです。華やかな花火に、さらに華々しく咲き続けている小花を見ていると本当に幸せな気持ちにさせられます。

大会概要
【大会名称】 小山の花火会
【開催場所】 栃木県小山市 観晃橋下流思川河畔周辺(小山市役所西側)
【観覧席】 有料観覧席あり(要予約)
【アクセス】 JR宇都宮線(東北本線)、JR水戸線、JR両毛線各線とも小山駅下車、徒歩約8分
【URL】 http://oyama-kankou.a.la9.jp
【問い合わせ】 おやまサマーフェスティバル2014実行委員会事務局(小山市商業観光課内)
      TEL:0285-22-9273

泉谷玄作(いずみや げんさく)
写真家。1959年 秋田県に生まれる。花火の撮影をライフワークとする。現代美術作家、蔡國強(Cai Guo-Qiang)氏の依頼で、2002年MoMA(ニューヨーク近代美術館)主催の「動く虹」の花火や、2003年ニューヨークセントラルパーク150周年記念の「空の光輪」の花火などを撮影。著書に、『心の惑星-光の国の物語』(クレオ)、『日本列島 四季の花火百華』(日本カメラ社)、『静岡県ふくろい遠州の花火』(日本カメラ社)、『花火の図鑑』(ポプラ社)、『花火の大図鑑』日本煙火協会/監修 (PHP研究所)、『日本の花火はなぜ世界一なのか?』(講談社+α新書)など、花火に関するもの多数。日本写真家協会会員。

2014.07.07(月)
文・撮影=泉谷玄作