この記事の連載
キャンメイクインタビュー【前篇】
キャンメイクインタビュー【後篇】
昔は「安かろう悪かろう」のマイナスイメージが強かった

――最初に大ヒットした製品はなんでしたか? 社員の皆さんが「売れた!」という実感を得られたような製品があるのではないかと推察しますが……。
山口 私や今いる若い社員たちは、リアルタイムでは経験していないのですが、とある有名なヘア&メイクアップアーティストの方が、1998年発売のカラースティックという製品を有名アーティストのメイクで使用してくださったのがきっかけで、それが爆発的に売れました。

――カラースティック! 私も使っていました、雑誌などで何度もご紹介しましたね。
山口 当時の営業担当に聞くと、「ここまで忙しくなったことはない」というくらい、欠品も続いて本当に忙しかったそうです。売れている手ごたえをしっかり感じられたと。それがきっかけで、キャンメイクというブランド自体の認知度が一気に上がったのだそうです。
――やはり人気のきっかけとなるアイテムがあったんですね。
山口 昔は「安かろう悪かろう」のマイナスイメージが強かった時代。私が入社した2008年頃にもその名残はありました。その頃は、「キャンメイクを使っているのは恥ずかしい」というような言葉も見受けられ、例えばキャンメイクのパウダーを人前で使うときに、いわゆるデパコスブランドの容器に入れ替えてる人がいらっしゃったくらいです。
――そこまで極端でしたか。そう思うと、今はプチプラブランドのイメージは、もっとずっとよくなっていますよね。そのイメージアップに、キャンメイクは大きく貢献していると思います。
山口 ありがとうございます。プチプラコスメの特集なども、今ほどはなかったですね。2011年にマシュマロフィニッシュパウダーを発売したのですが、私の同期が本当にこだわりにこだわって作りまして、すごくいいモノができたんです。その頃から少しずつ、プチプラのマイナスイメージを払拭できていったのではないかと思っています。

安心・安全・高品質を第一に
――ちなみに筆者は敏感肌ですが、キャンメイクさんの製品は、品質の安全性へのこだわりも高いと感じているのですが……?
山口 そうですね、“安心、安全、高品質”は社内の基本方針です。品質保証室という部門がありまして、そこが最終的に安全面の様々なジャッジをするのですが、こちらが思ってもみなかった部分でNGを出されることもあります。
――ちなみに、購買層のメインは10~20代の若い女性のように思いますが、もっと上の年代の使用者もいらっしゃいますか?
山口 実は80代で愛用していただいている方もいらっしゃいます。
――80代! それは想定外でした。
山口 80代の方からもお問い合わせをいただいています。お問い合わせ内容は、以前に販売していた製品が「まだ売っていますか?」という内容が多いのですが、中には「今までアイライナーをあまり使ったことがないのだけど、ちょっと使ってみたいので、オススメの製品や色を教えてください」というようなご相談もありました。
――なんだか嬉しいお問い合わせですね。
山口 はい、いくつになってもチャレンジしよう、メイクを楽しみたいという気持ちに貢献できているのかなと思うと、キャンメイクとしてもとても嬉しいですね。実際にご購入いただく場合も、ドラッグストアなどで取り扱っていますので、気軽に見ていただきやすいかなと。
――キャンメイクさんのコーナーは店頭でも華やかで、楽しい雰囲気ですよね。
山口 そうですね、いい意味でわちゃわちゃしていると思いますし、何か掘り出し物を探す、みたいな感覚でも見ていただけると思います。棚のどこに何を置くかというのも、新製品を目立つようにするのはもちろんなのですが、かなりバランスを考えて配置しています。キャンメイクは新製品の出る頻度が高いので、単純計算すると1年のうちに1/3くらいが新しいものに入れ替わっていく。ですから常に皆さんに新鮮な印象で見ていただけると思います。ぜひ店頭で覗いてみてください!
》後篇:懐かしのあのアイテムも!? キャンメイク創業当時から2025年までの7大ヒットアイテムを振り返る
●お話を伺ったのは……
(株)井田ラボラトリーズ キャンメイク部PR課長 山口ゆきさん
2008年入社。販促企画を担当した後、商品企画部で主にアイメイク製品を手がけてきた。現在はPRとして従事。製品の楽しさやワクワク感といった魅力を様々な形で伝えている。
キャンメイク

2025.07.24(木)
文=斎藤真知子
撮影=平松市聖