表情を動かす、作りすぎくらいでちょうどいい

――板垣さんも笑顔で頷いていて、楽しそうな撮影現場の雰囲気が伝わってきます。では、おふたりが特にお気に入りのキャラクターやシーンはありますか?

吉沢 みんないいからな。それぞれが違う方向にバカというか(笑)。坂本とかめちゃくちゃ面白かったし、普通に演じてみたいなとも思いました。全員ぶっ飛んでるキャラではあるんですけど、坂本は特にふざけられそうだなって印象があって(笑)

――満島真之介さん演じる坂本梅太郎は、李仁の担任教師であり、夜はバンパイアハンターとして長年に渡り蘭丸を追っている人物。高校教師の顔とハンターの顔、その先にさらに、という多面性が楽しいキャラクターです。板垣さんはどうでしょうか。

板垣 みんないいキャラクターですが、特に眞栄田郷敦さん演じる蘭丸の実兄・長可が好きですね。この映画でも、原作でも立野家に来てからの長可がいいんですよ。

――板垣さんは実年齢より下の高校生・李仁役として、意識されたことは?

板垣 表情をいつもの2、3倍くらい動かすようにしていました。自分の中ではやりすぎてる、作りすぎてるくらいでちょうどいいかなと思いながら。ひとつひとつ蘭丸に対するリアクションを意識して演じましたね。

――とても瑞々しく愛らしい高校生ぶりでした。おふたりとも漫画原作の実写化の経験が豊富ですが、漫画のキャラクターを実写として演じる上で、心がけていることはありますか?

吉沢 それぞれの作品、制作チームの取り組み方にもよるものの、実写化で一番こだわるのはやっぱりビジュアルですね。そこを外しちゃうと原作ファンの方に失礼だし。僕もひとりの漫画好きとして、そこはすごくこだわりたい部分です。ただ原作のキャラクターに寄せる場合、まったく同じ形にすれば原作通りになるわけでもなくて、僕がどのようにどれくらい寄せていけるかを考えます。今回もメイクさんと髪型や前髪の長さなど、細かいところまで話し合いました。

――原作者の奥嶋ひろまさ氏は、李仁のキャラクターを板垣さんをイメージして作ったそうですね。板垣さんは実写化で心がけていることはありますか?

板垣 僕もビジュアルは本当に大事だなと思います。衣装合わせの段階から、Tシャツは柄や袖の長さまで意識して、暖色系を中心にしました。パンツはフルレングスだと大学生ぽく見えてしまうので、短めの丈にこだわってショーツとか短パン系にして、大人っぽく見えすぎないように気を付けました。

2025.07.04(金)
文=あつた美希
撮影=橋本 篤
ヘアメイク=吉沢:小林正憲(SHIMA)、板垣:KATO(TRON)
スタイリスト=吉沢:荒木大輔、板垣:伊藤省吾 (sitor)