
パンの本場は欧米と思いがちですが、中国の小麦食の歴史も長く、紀元前には小麦のパンを食べていたといわれています。マントウ(饅頭/日本でいうところの肉まん・あんまんなど)や花巻など、中国パンは蒸しパンのイメージが強いですが、オーブンで焼いたり、鉄板で焼いたり、揚げたりと、調理法は多彩! さらに甘いパンのバリエーションも驚くほどあるんです。
中国勤務や留学生などガチ中華愛好者だけが知っていた彼の国のパンの魅力ですが、新小岩に「劉記 中華面食」がオープンして以来、中国パンの魅力に沼ってしまう人が続々。どんなパンがあるのか、今回は甘いパンをクローズアップしてご紹介!
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油っこくなく、軽くてサクサクのパイ

「砂糖入りサクサクパイ(糖酥餅)」は、中国・南京地方の名産品。ジャリッとした砂糖の食感とほどよい甘さで、シンプルながらも大人気のパンです。パイ生地は軽やかで、バターたっぷりの西洋パイのような重たさを感じさせません。
「中国のパンは油脂をあまり使わないのでヘルシーなんです」と話す、「劉記 中華面食」店主の劉惢(リュウ・レイ)さん。油脂が控えめなので、リッチではなく素朴な食べ心地。だからこそ、ストレートに小麦の滋味が伝わってきます。

「ラオポーピン(老婆餅)」の具は、まさかの求肥。もちっとした求肥と、サクッとしたパイのなんともユニークな食感がクセになりそう。こちらは台湾や香港で人気のお菓子です。

甘くはないけれど、ちょっと珍しい「山椒塩サクサクパイ」にも注目を。美しい層になったパイ生地がみっちり詰まっていて、ほんのり感じる山椒が小麦の風味を引き立てます。こちらは食事パンとして料理といっしょに味わうのがおすすめ。
ホロホロッとした、ひと口サイズの小さなパイ

あんを包んだ「ミニパイ(小小酥)」も、お店で人気の高いシリーズです。小麦粉にラードを加えて練った生地で小豆などのあんを包み、鉄板で焼いたもの。あんの甘さは控えめで、パイ生地とのバランスが絶妙。香ばしい生地はホロリともろく、あんと口中でとろけあいます。こちらは中国・北部のクラシックな製法で作っているそう。


紫芋、マロン、緑豆、小豆、黒ゴマなど定番のあんに加え、パイナップルやサンザシ(山査子)など季節のあんが並ぶことも。何個でもおかわりしたくなるサイズ感で、おもたせにしても喜ばれそうです。
2025.06.28(土)
文=嶺月香里
写真=鈴木七絵