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よえ子とは別の視点で、親子をテーマにしたマンガも描いてみたい

――父の過去を知ったよえ子は父を怒らせるための“秘策”を思いつきます。本作はクライマックスに向けてどんどん盛り上がっているところかと思いますが、これから描いてみたいテーマはあるのでしょうか。

 父親と正面から向き合ったよえ子とは真逆の、親から逃げる主人公も描いてみたいなと思っています。

 あるドキュメンタリーで取り上げられていた、親の介護をされている40代前後の女性のお話がきっかけなんですが、その方はお母さんと2人暮らしで、毎日会社と自宅の往復で――。唯一の楽しみが「たこ焼きを焼いてビールを飲むこと。それがいちばんの幸せです」と話していました。それを聞いた時に、きっと本当はもっといろんな幸せがあったと思うのにとか、状況的にそうせざるを得ない大変さ、でもそれがいちばんの幸せってどうなんだろう……とか、いろいろ考えてしまって。

――介護を経験されたおかさんならではの視点ですね。そうしたアイデアは普段からメモしているのですか?

 本を読んで気になった箇所を書き留めることはありますが、心に溜めているものは表には出さないですね。書いたら消えてしまうタイプなので。

 もともと嫌だったことをブログでマンガにしていたのも、描けばすっきりするからということがあって。もしもそこで父の看取りのことを描いていたら『父を怒らせたい』は生まれなかったと思います。

 実はこの作品のラストも、父親が亡くなるということ以外はギリギリまで決まっていなかったんです。自分なりに勉強をしたり、いろいろなものを見聞きしたりする中で、「描いてみたい」テーマが自然と浮かんでくるようになりました。内側から出てくるものがある限り、描き続けていきたいです。

【第1話試し読み】大嫌いな毒親の父が癌になって家に平和が訪れた! なのに娘は「父を怒らせたい」と躍起になり…その理由は?

おかくーこ

7月18日生まれ、和歌山県出身。最近の幸せは、お風呂。ビッグコミックオリジナル『父を怒らせたい』で単行本デビュー。現在、集英社「ココハナ」にて『おつかれミッドナイト』連載中。
X @nezumigaoka

父を怒らせたい(1)

定価 770円(税込)
小学館
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次の話を読む大嫌いな毒親の父が癌になって家に平和が訪れた! なのに娘は「父を怒らせたい」と躍起になり…その理由は?【マンガ】

2025.07.04(金)
文=河西みのり
マンガ=おかくーこ