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一昨年、『CRUISIN’』で世界同時配信デビューを果たした7人組男性グループIMP.。高いダンススキルを武器にしたエモーショナルでエネルギッシュなパフォーマンスと、メンバー全員のチームワークの良さで人気を博している。
そのグループの中で、不動のセンターを務めているのが佐藤 新。これまでも俳優としても舞台やドラマなどで活躍してきた彼が、『青春ゲシュタルト崩壊』で映画初主演を務めている。
過去の自分と今の自分、それぞれに似ている部分がある役

「今回の話を聞いたのは、これから音楽番組でデビュー曲の『CRUISIN’』を披露するっていう直前のタイミングだったんです。
IMP.として出演する初めての音楽番組ですでにいっぱいいっぱいだったのに、本番の5分くらい前に突然『映画の主演が決まったからよろしくね』とさらにとんでもない情報が入ってきて。なんだかよくわからないまま出番になってしまって、自分の中でうまく気持ちが処理できなかったです」
その『青春ゲシュタルト崩壊』は、周りに合わせて自身の感情や個性を押し殺すことで、自分の顔が認識できなくなってしまうという青年期特有の架空の症状・青年期失顔症が題材。
責任感が強い優等生の間宮朝葉(渡邉美穂)は、周りの期待に応えようとするあまり青年期失顔症を発症してしまう。誰にも言えず悩んでいた彼女の異変にいち早く気づいたのは、派手な見た目で周囲に馴染もうとしない態度のため、学校でも浮いた存在だった朝比奈聖。この聖が佐藤の役どころだ。

「最初に台本を読んだとき、めちゃくちゃリアルだなと思いました。リアルでこんなに共感できて、心臓にグサグサ刺さるような作品です。
僕が演じる聖は、今の自分に似てる部分もあるし、過去の自分に似てる部分もあって。それぞれの時代の自分を照らし合わせながら役を理解して作っていった感じです」
今の自分と似ているのは、「周りと考え方が違っていても、自分の考えをわりとしっかり持っている」ところ。しかし聖同様、「過去には人間関係で悩むことが多かった」そう。
「友達のことで悩んで私生活に支障が出るくらい思い詰めてしまったこともありました。聖が金髪にしてグレた感じにしているのも、過去のことを気にして思い詰めたりしちゃったからで、強そうに見えて、じつは繊細なんですよね。そういうところにすごく共感できたので、変に取り繕わずにありのままの自分をさらけ出して演じました」
同時に、自身の中で聖というキャラクターをよりリアルなものにするために、役のバックグラウンドを想像しての役作りも。
「まずは水泳をしているキャラクターとしての体を作らないとと、筋トレをして。あとは、どの俳優さんもやっていると思うんですけれど……作品の中には出てこない設定の部分を自分なりにプロファイリングしました。
お父さんとお母さんはどんな人かなとか、家族との関係性はどんな感じで聖の変化の過程をどう思っていたのか、みたいなことを結構たくさん考えて、紙に書き出して。
現場ではやっぱり緊張するし、セリフを言うことに必死になっちゃうこともあるので、ふと気づいたときに聖に戻れるよう、自分だけが見られるようその紙をお守りみたいに現場に持っていっていました」
2025.06.10(火)
文=望月リサ
写真=榎本麻美
ヘア&メイク=大森創太
スタイリスト=山本隆司(style3)