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 50代の大人の女性の“モヤモヤ”を明るくオープンに語った新刊『不機嫌ばかりな私たち』を5月29日に上梓した渡辺満里奈さんにインタビュー。

 ナチュラルな明るさで、男性からも女性からも人気のある渡辺さん。更年期を迎え、ホルモンバランスの乱れや老い、夫や子どもとの向き合い方などを綴ったエッセイについて聞きました。


――新刊『不機嫌ばかりな私たち』拝読しました。タイトルも中身も刺さることばかりでした。

渡辺満里奈さん(以下、渡辺) ありがとうございます。

 「不機嫌」というワードは、どうしてもネガティブにとらえがちです。でも、私はそれほどネガティブに感じたことがなく、むしろ「不機嫌でもいいじゃないか」と、ずっと思っていました。

 よく言われる「自分の機嫌は自分でとる」というフレーズも、素敵な言葉だとは思いますが、「どうして不機嫌じゃダメなんだろう」と、勝手にモヤモヤしていたんです。

 さらに最近は、いわゆる「更年期」という時期に突入。体や心に不機嫌の種がさらに増え、そこかしこに芽吹いているように感じていました。

 そこで、「自分が我慢すればいい」と不機嫌の種を閉じ込めるのではなく、なぜ不機嫌なのかの原因を突き止めて取り除いてみようと思ったのです。そのために、「私は不機嫌なんです」とはっきり宣言してみました。

――エピローグでも「50代は我慢しないと決めていた」と書かれています。

渡辺 はい。Chapter1「私の更年期事情」でも書いていますが、私は52歳を過ぎた頃から、体のあちこちに違和感を感じるようになったんです。不快感とイライラが増し、ひどく気落ちすることもありました。

 それに50代は、ライフステージの変化が大きいですよね。我が家でも子どもたちがちょうど思春期に突入して親子の関係が変わってきたので、不機嫌の種となる我慢をやめて、自分の好きなことをやるタイミングが来たなと思いました。

――不機嫌をあらわにする、我慢をやめる、というのは覚悟も必要ではないでしょうか。

渡辺 そうですね。「我慢しない」と決めても「私がやったほうが早いからやってしまおうか」「こんなことは、たいしたことではないから、自分が我慢すればいいのではないか」と葛藤することはあります。

 でもそういう小さな不機嫌の種や根っこに向き合い、一つずつていねいに抜いていくことで、どうして自分が不機嫌なのかを考え、対処していけるのではないかと考えました。

2025.05.30(金)
ヘアメイク、スタイリング=三上津香沙
文=相澤洋美
写真=今井知佑