自分で書いて、伝えたいことをストレートに伝えたかった

――本書は、どのような環境で書かれていたんですか?
川村 家にゲーム用のデスクがあって、その横にスピーカーとモニターが並んでいて、作曲ができる環境が整ってるんです。そのデスクの上に原稿用紙を置いて、万年筆で書いてました。今回のために万年筆も新しく買って、気合を入れて。最初から「全部手書きで書こう」と決めていましたね。
――書き間違えたときはどうしてたんですか?
川村 「修正って、どうすればいいんだろう?」と思いながら、間違えたらどんなに後半まで書いていても新しい原稿用紙に替えて、最初から書き直してました。で、間違えた用紙は丸めて捨てる、みたいな(笑)。でも途中で編集さんに「斜線引いて直しても大丈夫ですか?」って聞いたら、「全然それでOKですよ」って言われて。それからはもう、丸めて捨てることはなくなりました(笑)。
――昔の文豪みたいなことをしていたんですね(笑)。編集さんと、ここはこうしたほうがいいと言われるようなやりとりはあったんですか。
川村 文章の前後の順番を入れ替えたほうがいいっていうアドバイスや、言葉の使い方について指摘をもらうことはあったけど、内容自体は一切直されてないです。一冊目のフォトエッセイは聞き書きで作ってもらったんですけど、今回は「自分で書きたい」って思って。もちろん出版社や編集さんと相談しながら進めましたけど、そのほうが、伝えたいことをストレートに届けられると思ったんです。で、実際にやってみたら、「これはダメ」って言われたり、内容を変えられたりすることは一度もなかったですね。
2025.04.11(金)
文=西森路代
撮影=平松市聖
スタイリスト=吉田ケイスケ
ヘアメイク=oya(KIND)