作品で描かれる「箱」の中身は?

――村上春樹さんの作品に出演することに、どのような意義を感じていますか?

橋本 私、村上さんと誕生日が一緒なんです。お会いしたことはないんですが親近感というか、繋がりを感じています。

 今作のように異界と繋がるような感覚が得られる作品は少ないので、これまでと違う挑戦となりました。

 村上さんの作品では、自分の可能性を試されましたし、自分自身を発見する機会にもつながりました。

 意義のある作品に自分が携われることがすごく嬉しいなと思います。

――作品で描かれる箱の中身は謎のままですが、橋本さんは何が入っていたと思いますか?

橋本 わからないです。私は何も入ってなかったと思っていますけど……。

 あの箱の存在って、いい意味で“妙”なんですよ。小村の後輩社員・佐々木(泉澤祐希)や、小村が釧路で出会うシマオ(唐田えりか)とケイコ(北香那)にも通じる奇妙さがあります。人間と宇宙人の狭間みたいな。それがこの作品の面白さでもあると思います。

橋本愛(はしもと・あい)

1996年1月12日生まれ。熊本県出身。2010年、映画『告白』で商業映画デビュー、注目を集める。2013年、映画『桐島、部活やめるってよ』などで第36回日本アカデミー賞新人俳優賞ほかを受賞。テレビドラマや映画に俳優として多数出演するほか、週刊文春の『橋本愛 私の読書日記』をはじめファッションや写真に関する連載を持つ。幅広く活躍中。

NHK土曜ドラマ『地震のあとで』

阪神・淡路大震災から30年。村上春樹の珠玉の連作短編を原作にした“地震のあと”の4つの物語。岡田将生、鳴海唯、渡辺大知、佐藤浩市を各4話の主人公に、豪華俳優陣が集結する。震災の影響を、現地ではなく遠い場所で受けた人間たちの、喪失を伴う奇妙で美しき世界。映画『ドライブ・マイ・カー』の大江崇允が脚本、山本晃久がプロデュース、ドラマ『その街のこども』『あまちゃん』で震災を描いてきた井上剛が演出する。

橋本愛さん出演の第1話は、「#1 UFOが釧路に降りる」。1995年1月、東京。阪神淡路大震災の発生以来、自宅でニュース映像を見続けていた未名(橋本愛)は、「もう二度とここに戻ってくるつもりはありません」と置き手紙を残し、家を出ていく。残された夫の小村(岡田将生)は、妻のいなくなった理由が分からないまま、後輩に依頼された「届け物」をするため釧路へ赴く。4月5日(土)【総合】毎週土曜よる10時〈全4話〉

番組公式HP
https://www.nhk.jp/p/afterthequake/ts/YL43XXPKNQ/

2025.04.03(木)
文=ゆきどっぐ
撮影=松本輝一