この記事の連載
倉 悠貴さんインタビュー【前篇】
倉 悠貴さんインタビュー【後篇】
現場の熱量はすさまじいものに

――アクションシーンもかなり多かったですよね。あれご苦労されたのでは。
倉 はい、僕はアクションが苦手なので、かなり苦労しました。
ただ、正宗は本来好戦的な人間ではありません。村のため、銀のために戦わざるを得ない状況に陥っていくので、「戦う」といっても泥臭く向かっていくしかない。そのへんはアドリブも含めて、「こういう動きにしたらどうか」という僕の提案を取り入れてもらいながら、現場で都度相談してやらせてもらいました。
正宗のアクションシーンがぎこちなく見えたら、「ぎこちない演技」なんだと思っていただけるとありがたいです(笑)。
――現場の雰囲気はいかがでしたか。
倉 率直に言ってハードでした。映像にも演技にも徹底的にこだわるので、毎シーン5〜6テイクは撮っていたと思います。僕は恒松さんとご一緒するシーンが多かったのですが、普段はすごく柔らかい方なのに、カメラが回ると急に圧力が上がるというか、気合いが入り、まるで別人のように近寄りがたいハードな雰囲気に変わって、喰われないようにするのに必死でした。
あっ、いま『ガンニバル』のキャッチコピーの「喰われる」と、雰囲気に「喰われない」をかけたんですけど……。伝わりました?(笑)

――すみません、流してしまうところでした(笑)。確かに俳優さん同士の演技のぶつかり合いもすごそうですね。
倉 作品自体が、明るくカラッとしたストーリーではないので、どのシーンも基本的に重いんです。そこに、俳優同士の演技のぶつかり合いみたいなものも加わって、現場の熱量はすさまじいものがありました。
恒松さんの演技を横で感じながらそんな現場に参加できたことは、僕にとってすごくありがたい経験になったと思っています。
――今回倉さんが演じたのは、橋爪功さんが演じる役の若い頃です。橋爪さんとは現場で役についてお話もされたのですか?
倉 それが、僕、橋爪さんとは、まだお会いできていないんです。
僕が演じた過去パートの正宗が、現代パートの正宗にきちんとリンクしているかどうか、自分では判断できないので、橋爪さんに伺ってみたいです。でも、ご意見を伺うのが楽しみなような、怖いような……。そんな気持ちでいます。
倉 悠貴(くら・ゆうき)
1999年12月19日生まれ。大阪府出身。19年にドラマ「トレース~科捜研の男~」で俳優デビュー、20年公開の池田エライザ初監督作品『夏、至るころ』では、映画デビューにして初の主演を果たす。その後も『衝動』(21年/土井笑生監督作)、『OUT』(23年/品川ヒロシ監督作)の主演作のほか、『コーポ・ア・コーポ』(23年)、『市子』(23年)などに出演。2025年には、映画『リライト』への出演も控えている。
『ガンニバル』シーズン2

■原作:『ガンニバル』二宮正明(日本文芸社刊)
■監督:片山慎三、佐野隆英、大庭功睦 ■脚本:大江崇允
■プロデューサー:山本晃久、半田健 ■アソシエイトプロデューサー:山本礼二
■出演:柳楽優弥
笠松 将、吉岡里帆、高杉真宙、北 香那、杉田雷麟、山下リオ、田中俊介、志水心音、
吉原光夫 / 中島 歩、岩瀬 亮、松浦祐也、永田崇人 ジン・デヨン / 六角精児
恒松祐里、倉 悠貴、福島リラ、谷中 敦、テイ龍進 / 豊原功補
矢柴俊博、河井⻘葉、赤堀雅秋、二階堂智、大鷹明良、利重 剛 / 中村梅雀
ディズニープラスが放つ、世界を震撼させた衝撃のヴィレッジ・サイコスリラー超大作、完結。“この村では、人が喰われるらしい―”美しい村がひた隠しにしてきた恐ろしい噂。その真相に警察官・阿川大悟が迫る中、村の秘密を守ろうとする後藤家がついに一線を越え、警官隊と衝突する。“狂った村の真実を暴くには、狂うしかない―やつらよりも”後藤家との狂乱の戦いに自ら身を投じていく大悟は、止められない狂気の渦の先にある衝撃の真相を突き止められるのか?全ての鍵は、呪われた一族・後藤家の過去にあった……。
衣装クレジット
ジャケット104,500円/オーセン ジャパン(株式会社ラフォエム 03-6786-3504)、パンツ44,000円/キミー(サカス ピーアール 03-6786-3504)、他スタイリスト私物

2025.03.19(水)
文=相澤洋美
写真=志水 隆
メイク=NOBUKIYO
スタイリスト=伊藤省吾 (sitor)