12月23日の『徹子の部屋』に高倉健さんの晩年に17年寄り添ったパートナー、小田貴月さんが出演します。高倉さんが愛した「いもだんご」との出会いと、小田さんがたどり着いたレシピを紹介した記事を再公開します。(初公開10月21日)
2024年、没後10年になる俳優・高倉健さん。代表作のひとつである映画『鉄道員』のロケ中に北海道南富良野町で出会った「いもだんご」は、帰京後の自宅でもパートナー小田貴月さんにその味をリスエストするほどお気に入りでした。
名優の晩年を17年間支えた小田さんのフォトエッセイ『高倉健の愛した食卓』より、「いもだんご&ぽっぽやだんご」を紹介します。
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北海道富良野で撮影された映画『鉄道員』
「もー、寒かった。久しぶりの北海道だったろ。装備はばっちりだったけど、出てるところがね(と鼻や耳をひっぱるように触りながら)。
でも、今回は、地元のおばちゃんたちが、毎日熱々の炊き出しで世話してくれてね。いもだんごっていうんだったかな? これが美味かったんだよ。
他にも、料理がたくさん並べられてたけど、僕はいも専門。甘くもなく、しょっぱくもなく……。とにかくじゃがいもなんだよ!(親指と中指で輪をつくり)このくらいの大きさで、厚みはこのくらい(食パンの八つ切りの厚さ)。作れるでしょう?」
と、『鉄道員』(1999年)の北海道(南富良野町幾寅)ロケから帰宅した高倉の第一声でした。

このとき私は、男爵いもを生のまますりおろして、適度に片栗粉を加えて、一口、二口で食べられるほどの平たい丸形に整えて、オリーブオイルでほどよいきつね色に焼き付けました。甘醤油のとろみ餡をかけて完成。
「ちょっと味は違うような気がするけど、これも美味いよ」と合格点を貰もらい、我が家の定番小鉢メニューに加えました。
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『鉄道員』は、私が高倉と出逢ってから、初めて撮影された映画でした。同行することのないロケ地の風景に、少しだけ溶けこめた思いがしたものでした。
2024.12.23(月)
文=小田貴月