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EXILEファンだった自分だからこそできること

――ソロ活動として、2024年4月より全国Zeppツアー&東京ガーデンシアター『EXILE TAKAHIRO LIVE TOUR 2024 ”FULL THROTTLE”』を行われましたね。

 また新たな一歩につながったと感じています。10周年は、次に進むための良いきっかけになりました。武道館や今年の”FULL THROTTLE”ツアーを通して強く感じたのは、自分の役割についてです。

 ステージから歌を届けることはもちろんですが、今自分のなかで1番しっくりくるのは共感を生むことなのだと思いました。

――どのような共感なのでしょうか。

 もともと自分がEXILEのファンだったことが、僕の大きな強みです。セットリストやライブの企画を考えるとき、まずファン目線で「何を見たいか」「何を聞きたいか」を想像します。ライブ当日には、それをファンのみなさんと答え合わせをしているような感覚になります。たとえば、「これ聞きたかったよね」「見たかったよね」という共感を通じて、僕もみなさんと同じようにEXILEやその楽曲への情熱や愛情を一緒に感じています。

――今年9月の武道館公演のサブタイトルには「Dream」「Happiness」があり、クリスマスライブでは「Love」がありますね。

 EXILEには夢を歌う曲が多く、夢を直接歌っていない場合でも、夢を託したり、その曲が誰かの夢を叶えたりするドラマがあります。それをパフォーマンスやステージを通じて、ファンの皆さんと共感できる日になればと考えました。「Love」「Dream」「Happiness」は、EXILEの社名(LDH)であり社訓でもある。なかでも「Happiness=幸せ」をみんなで共有できたらいいなという思いをサブタイトルに込めました。

クリスマスの単独ライブで新曲やこだわりのアレンジを披露

――2024年12月24日のクリスマスイブには単独ライブがありますね。

 クリスマスライブについては、いつもとは雰囲気を変えたくて、昨年に続きシーケンス(データ音)を一切使わず、生音主体のアンプラグドスタイルです。厳密にはアンプを使っているので「アンプラグド」ではないのですが(笑)、ストリングスにはバイオリニストが参加するなど音楽性を追求しています。すべての音を際立たせ、観客のみなさんが全身で音を浴びるような、よりオーガニックな音楽体験を目指しています。

――楽曲のアレンジも変わるのでしょうか。

 まずは、シーケンスを使わないことで音の聞こえ方がまるで違います。楽曲のコードやテンポ、リズムなどを自由に調整できるのも大きな特徴です。ただしアレンジにはバランスも必要ですよね。やりすぎると「もう少しオリジナルっぽく聞きたかった」とみなさんが感じることもあると思います。その加減については、ファンのみなさんとの“共感”を大切に、「洒落てるな」と思っていただける塩梅にアレンジすることを心がけています。

――楽曲の新たなイメージを楽しむことができそうですね。

 特にLDHやEXILEを長年応援してくださっているみなさんにとって、シーケンスのないライブは新鮮だと思います。EXILEにはパフォーマーがいる分、シーケンスを使うライブが基本なので、こうした形式は珍しいですよね。昨年にこのスタイルを初めて試してみたところ、自分のなかでも非常にしっくりきました。こういったライブが年に1回でもあると、みなさんの耳もどんどん幅が広がるのではと感じています。今年も昨年に引き続きバンドメンバーとともにグルーヴを感じながら音楽を届けたいと思っています。

2024.12.15(日)
文=あつた美希
撮影=平松市聖