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「生理」と向き合うことも快適さにつながる

木川 今は、生理が始まって閉経を迎えるまで約40年と言われているから、生理期間をいつもと同じように過ごすためには、自分に合う生理用品を探すことも大切だけど、生理そのものと向き合うことも必要だと思っています。

 産婦人科の医師に取材を重ねていると「自分の生理周期を知らない人が多い」という話をよく聞くので、まずは生理管理アプリなどを活用して生理周期の記録から始めるのがいいかなと。例えば、「なんかイライラしやすい」と思ったとき、「もうすぐ生理だ」と理由がわかるだけでも気持ちは落ち着いてくるし、「生理が近いから吸水ショーツを穿いておこう」と準備ができるのもいいことですよね。

須藤 生理との向き合い方は大切ですよね。私は、生理を健康のバロメーターだと考えるようにしてから少しずつ生理に対する印象が変わってきて、気づいたことがあります。具体的には、生理の前日に必ずお腹をくだすんです。私の感覚ではありますが、身体がデトックスをしている感じ。

 経血の色も観察しているのですが、1日目は少し茶色っぽくて、2日目は完全に鮮血。終わりに向かうとまた茶色くなっていきます。毎月観察することで自分の経血の状態がわかるようになるから、身体の調子を知るひとつのヒントとして生理を捉えることができると思っています。

木川 生理を健康のバロメーターと考えるようになったきっかけはありましたか? 

須藤 もともと健康は大切だと思っていたけど、出産を経験したことでより強く感じるようになりました。息子はアトピーとアレルギーを持っていてその理由は何だろうと考えたときに、もちろん体質の部分もあるけれど、もしかしたら私が妊娠中に食べていたものが影響しているのかなと。

 いろいろ調べていたときに、私が食べたものの3%が母乳を通して息子に伝わるということを知ったんです。息子は小麦粉と牛乳のアレルギーがあるんですけど、私がカフェラテを飲んで母乳をあげると症状が出るんです。それを目の当たりにしたとき、自分の身体から出てくるものはすごく大事なんだなと考えるようになりました。

木川 私も健康管理の一環で、尿や便も含めて身体から出てくるものを観察しています。そうすると、排卵日から生理前はいつもより便が硬くなって、生理が始まったら緩くなるという傾向がわかりました。さらに、いつもよりも食習慣が偏ってしまったときは経血が塊で出てくることが多くて、生活習慣の影響を受けているんだと実感したことで、普段の生活から健康を意識するようになりました。

富田 同じく私も観察してます。ヨガやアーユルヴェーダの勉強を始めたことがきっかけで、自分の身体にフォーカスするように。そうするとどこか自分と切り離して考えていた生理が、自分の一部であるという感覚になって、経血なども観察するようになりました。

 月経カップを使っていると、経血の色や量を把握しやすいんです。経血量が多い2日目は数時間で月経カップがフルになることがありますが、3日目以降はすごく少なくて「意外とこれくらいの量なんだ」と。私の身体からはこんな感じで出てくるんだと観察しています。それこそ、今までは経血を見てはいけないみたいな風潮があったけど……。

木川 ナプキンにしても、いかに経血を見ずに捨てられるか……みたいな雰囲気はありましたよね。

富田 そうそう! だけど、自分の身体の状態を知るためのひとつの手段として生理に向き合うと、ネガティブな気持ちは軽減されますよね。

須藤 そう思います! 生理に対する印象ができてしまった後では、イメージを覆すのに時間がかかるから、はじめて生理について知るタイミングで、健康のバロメーターになることや生理用品の選択肢についても教えてもらえたら全然違ってくると思うんです。そうすると、我慢をすることが前提ではなく、我慢をしない方法を見つけていく意識も生まれやすくなるのかなと。教育現場や家庭内で、もっともっと話ができるようになるといいですよね。

富田 最初の印象は本当に大切。自分自身のことを振り返ってみると、小学生の頃にはすでにこそこそ隠す習慣ができていた気がします。

木川 私もそうでした。「生理は隠すことなんだよ」と言われた記憶はないけど、今思うとそういう雰囲気を感じ取っていたのかもと。生理を健康のバロメーターだと捉えると印象は変わってくるし、生理用品の選択肢が広がったことで、気になることは我慢しなくても解消していける。思考を変えたり、生理用品を見直したり、自分なりに工夫しながら生理期間をポジティブに過ごしていきたいですね。

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2024.11.22(金)
Text=Seiko Kigawa
Photographs=Miki Fukano

CREA Due 2024年10月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。