勇気を出して行動しないと快適さは得られない
木川 生理用品は生活必需品だからこそ、なるべく価格を抑えたいという気持ちや、使い慣れているという安心感もあって「浮気しないアイテム」ともいわれています。だから、見直そうという意識がなかなか働きにくいように感じています。自分に合った生理用品に出会う確率を高くするにはどうするのがいいと思いますか?
私は、シンプルに「こっちのほうがより快適になるかも」という感覚を大事にするといいと思っています。例えば、同じナプキンでも肌心地を重視したい場合は「ナチュラムーン」、環境に配慮したものがいいと思ったら「ナトラケア」や「エリス」などがあるし、吸水ショーツでもボディ部分がオーガニックコットン素材になっている「Hogara」がある。今は生理用品も嗜好や生活習慣にあわせて選びやすくなっているから、自分にとっての快適さをとことん追求してほしいです。
須藤 自分が生理用品の何に悩んでいるのかをクリアにすることも大事ですよね。ナプキンのもこもこする感じが嫌だったら、スリムタイプを選ぶことで解消されるかもしれないし、肌のかぶれが気になるなら、食品を買うときにカロリーや原材料をチェックするように、生理用品に使われている素材を確認することが重要ですよね。ナプキンの場合は化繊で作られているのが一般的だから、オーガニックやナチュラル素材を選ぶことで肌のかぶれ具合は変わってくると思います。
富田 取り替える頻度が少ないほうがいいと考えるなら、月経カップや吸水ショーツで解消されますよね。
木川 吸水ショーツは「このぐらい吸水できます!」と吸水量がアピールされていることが多いから、「自分の経血量がわからない……」とトライしにくくなっているところがあると思うし、「本当に一日中大丈夫なの?」という疑問も抱きやすくなりますよね。
私も経血量を具体的には把握していないけど、基本的には一日中取り替えなくても問題ないです。ただ、特に経血量が多い日は、吸水ショーツの表面に経血が残っていたら想定の吸水量を超えたという合図だと思って、そのタイミングで取り替えます。
もし取り替えられない場合は、トイレットペーパーで表面に残った経血を拭き取ることで漏れるリスクは下げられるし、経血が肌に付着しているような不快感もなく過ごせます。あらかじめ多い日だとわかっているときは、ナプキンと併用しながらだとより安心して使えますよね。
須藤 吸水ショーツは最初に手ごろな価格のものを使用して、それでイマイチだったという人もいますよね。価格と機能性は比例するところがあると思うので、その1回の経験で吸水ショーツを選択肢から外してしまうのはもったいないですよね。しっかりリサーチしてから購入するのも、自分に合った生理用品を見つける第一歩だと思います。
私が吸水ショーツの「ayame」を愛用するようになったのは、老舗下着メーカーならではのこだわりや作り方、考えがすごくしっかりしていると感じたから。信頼できるブランドと出会うと、吸水ショーツのような新しいアイテムでもチャレンジしやすいと思うので、気になるブランドを見つけたら、ものづくりの姿勢を調べるのもいいと思います。
富田 私はゴミが出ないことが心地いいと感じて月経カップ派なのですが、洗うのが面倒と感じる人もいると思います。生理用品にはそれぞれメリットとデメリットがあるから、それを知ることも自分に合った生理用品に出会える確率を高くしてくれると思います。
最近は、吸水ショーツや月経カップが試せる店舗、オンライン注文の場合でも試着できるサービスを展開しているところもあるから、そういうブランドから試してみるのもありですよね。自分の気持ちを軽くできるのは自分だけだから、私もどの生理用品を取り入れるかはアップデートし続けています。
木川 生理用品のバリエーションだけでなく、単体で取り入れるのか、併用するのかなど、取り入れ方もいくつか選択肢を持っておくと、より快適になっていきますよね。
これまで使っていた生理用品を切り替えるのは勇気がいること。だけど、私は生理がくるたびに気になっていた、肌のかぶれ、モレ、ムレが生理用品を切り替えたことで解消されたので、自分に合うものを選ぶことは本当に大事だと思うんです。
中には、今使っている生理用品で特に困っていないという人もいると思うけど、「生理期間だけだから」と、少し不快感がありながらも、やり過ごしている人も多いはず。1カ月のうちの約1週間は気になっていて、それが毎月となるとストレス度合いは結構高いと思うんです。
「初めて使う生理用品で失敗したら嫌だ」という気持ちが出てくるのは自然なことだけど、行動しないと何も変わらない。勇気を出して行動するからこそ快適さが手に入るんだと思います。
2024.11.22(金)
Text=Seiko Kigawa
Photographs=Miki Fukano