世界文化遺産登録10周年を記念したイベント

平安時代から江戸時代にかけ、熊野三山信仰の機運が高まった。旅人たちがわらわらと参詣道に列をなす様子は「蟻の熊野詣」と喩えられたという。(C) Jimmy Ming Shum

 「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界文化遺産に登録されてから、2014年で10周年となる。

 この登録は、紀伊山地の自然がなければ成立しなかった山岳霊場と参詣道、そして、それを取り巻く山、川、滝、温泉、田園、街並みなど、自然と人間の営みが長い時間をかけて形成してきた文化的景観が大きく評価され、実現したもの。

 世界文化遺産の多くは遺跡や建築物である中、これまで“巡礼道”として登録された例はスペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」と、この「紀伊山地の霊場と参詣道」の2例しかないというから、実に貴重なケースなのだ。

 和歌山県田辺市は、世界遺産登録10周年を記念し、「渋谷ヒカリエ」で写真展「世界遺産のあるまち~田辺」を開催する。

 この展覧会は、“道をつなぎ、人が未来を創る”をコンセプトに、国際的に活躍する香港人フォトグラファー、ジミー・ミン・シュン氏が、熊野古道やその地元に生きる人、暮らし、味、仕事などを切り取ったもの。

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2014.04.11(金)