プロポーズ時の提案書には「変化に対応し続ける」とだけ
――安野さんは、パートナーにどんなものを求めていますか?
安野 自分のやりたいことが明確にある、自律した方に惹かれます。里奈は、「文芸というフィールドで良い作品を生み出したい」という話をずっとしてるんですよね。自分を持っている方だなと思って、いいなと思いました。
黒岩 24歳で結婚したんですけど、プロポーズの時に安野から「二人の結婚生活に向けた提案書」という中長期プランのプレゼンを受けて。このプランには具体的なことは何もなくて、「変化に対応し続ける」ってことだけが書いてあるんです。
安野 そうだったね。
黒岩 印象に残ったのが、「人間の世界モデルの捉え方には3パターンある」という話で(と、ホワイトボードに成長曲線のようなグラフを書き始める)。この3つのグラフのうち、最も加速度的に変化するのが自分だ、と安野が言っていて。
安野 無理してグラフ書かなくて良かったんじゃない?(笑)。
黒岩 たしかになくてもよかった(笑)。で、「里奈はどの世界モデルでいきたい人?」みたいなことを聞かれて、私も「加速度的に変化する世界を見てみたい」と。安野と同じ方向性だったので、「お互いに握れたね」って話をしたんだよね。
安野 僕の認識としては、世界はずっと指数関数的に急速に変化し続けていると思っていて。そのスピードに自分が対応できるかどうかは別として、自分は変化を起こす側にいたい、という思いはずっと変わってないですね。
黒岩 この話って、お互いが何に面白さを感じるか、ということに直結するなと思ったんですよね。
――プロポーズの時、安野さんが「提案書」を作成したのはなぜ?
安野 新卒で入ったコンサルティング会社でクライアント向けに経営計画を作って提案していたので、結婚というものに対しても中長期の計画を示すのが筋ではないか、という考えのもとですね。コンサル用語でこれを「プロポーザル」と言うので、原義の通り、里奈にもプロポーザルしました。
2024.10.17(木)
文=小泉なつみ