川内 大学3年生で箱根駅伝に出場できなかったので、4年生の春になるまで1社も声がかからなかったというのもあります。その前に公務員試験の受験勉強をはじめていたので、こんなに頑張って勉強してきたんだから、いまさら実業団には行きたくないよな、という気持ちもありました(笑)。
近年、市民ランナーとして活躍している人を見ていると、強豪大学、強豪高校出身の人が多いことに気づきます。きっとどこかのタイミングで、厳しい練習を積み、自分に必要なトレーニングとはなにか知っているんですよね。その厳しい面の中から、いらない部分をそぎ落として、効率化して練習を積んでいる。だから働きながらでも記録を伸ばすことができるのだと思います。そうして自己管理できる人、高校や大学で学んだことを活かせる人が、実業団に入らずとも活躍できているんだと思いますね。
――『俺たちの箱根駅伝』では、なぜ努力するのか、なぜ走るのか、ということが大きな問いとして提示されます。川内さんにとって、走る理由とはなんでしたか?
川内 箱根駅伝に関して言うと、大学や関わってくれている人たちの期待にこたえたいというのはもちろんありましたが、もう一つ、自分自身のプライドのためでもありました。
高校時代に怪我で挫折を味わって、強豪大学のエリート路線から脱落した落ちこぼれだ、という風に自分のことを思っていました。だから、高校時代から活躍して、スポーツ推薦で強豪チームにいるような連中を、まさに「箱根」という舞台でぶっちぎってやりたい、というギラギラした強いプライドがあったんですね。
実際、4年生の箱根では、レース終盤で中央大学の背中が見えてきて、僕の次の区間の梶原選手(松蔭大)が僕が埋めた差をうまく活かして抜いてくれたときは本当に嬉しかった。チームの結果も、この年の学連選抜は復路3位の好成績を収めました。この記録は、学連選抜、学生連合史上最高順位です。
――100回大会では学生連合チームは編成されませんでしたが、次回101回大会ではまた組織されます。川内さんご自身は、今後の学生連合へどのような思いを持っていらっしゃいますか?
2024.09.26(木)