この記事の連載
◆『ルリドラゴン』眞藤雅興/集英社
高校生の青木ルリは、ある朝目覚めると突然頭にツノが生えていて……。ドラゴン少女が日々を頑張らなかったり、頑張ったり、やっぱり頑張らなかったりする、ゆるっとした日常系マンガ。
「存在感とキャラ立と面白さと画の巧さと面白さ。1巻発売以降は連載がストップし、再開後は少年ジャンプ+に移籍したけれど2巻を今か今かと楽しみにしている。先生のよきタイミングで続けてほしい」(編集部注:9月4日に2巻発売。)
◆『カグラバチ』外薗健/集英社
刀匠を志す少年チヒロが、刀匠の父を亡くし、妖術を駆使して悪と闘うバトルアクション。寡黙で冷徹なダークヒーローが復讐に生きる物語。
「大胆なコマ割りや圧巻の構図、戦闘中に数分前の和やかな会話シーンを唐突にカットバックするなどのかなり風変わりな演出を使う作家で、マンガというよりハイセンスなバイオレンスアクション映画に近い。マンガ作りの才能が光りまくっていて今後きっとすごいマンガ家になると思います」
◆『十次と亞一』コドモペーパー/新書館
売れないマンガ家・小林十次は、ひょんなことから売れっ子の幻想小説家・大江亞一と出会う。明治・大正期の架空の下宿屋を舞台に描く、ふたりの男をめぐるミステリ。
「大正ロマンの色濃い時代を舞台にした非BL系ボーイ・ミーツ・ボーイの物語。謎解きとふたりの友情とが掛け合わされたストーリーも魅力的。本作は万年筆を使って描いたというのも驚きであり、そのタッチに惹き込まれます」
◆『花の在りか』大横山飴/KADOKAWA
物書きをしている主人公・三ツ郎が、子ども時代に仲のよかった真帆と再会したことから、物語が動き出す純文学的青春譜。
「青年マンガ(なのでちょっとエロ系)で数年前にデビューしているので青田買いか微妙ですが、「月刊コミックビーム」で出たこれが実質デビュー作とみていいのではと。地方の街に戻ってきた青年と女性が再会するのですが、恋愛未満の彼らの距離感がリアル。しかも彼らの宙ぶらりんな内面(居場所が決まらない、将来が見えないみたいな)と関係性と二重写しになっていて、うまい。映画を観るような作品に仕上がっています。独特の画風も含め、マークしていきたい作家さん」
◆『梅花の想ひ人』おく/KADOKAWA
日本各地の民話をもとにした5篇を収録。美しく迫力のあるフルカラー作品集。
「ストーリーは、日本各地に点在する昔話がベースで、それをアレンジして作られています。ゆえに、どこかで見知った話(オムニバス。たとえば1話目は「鶴の恩返し」みたいな話)なのですが、圧巻の画力と組み合わさると、ものすごく豊かな作品になるんですね。1ページ1ページが絵画のよう」
2024.09.28(土)
文=大嶋律子(Giraffe)