この記事の連載

◆8位『夏の終点』西尾拓也

 気付いたらその人を目で追っている──中学生の恋心を静謐な筆致で描く佳品。

 ふたりきりになった緊張感、心が通じあった瞬間などの感情がみごとに描出され、ときめきという滋味が体にしみこんでいくよう。

 相手に自分を押し付けることのない控えめな愛に心が瑞々しく潤います。

「静かで揺るぎない10年越しの恋に満たされます」(編集者・ライター・作家 粟生こずえさん)

編集者・ライター・作家
粟生こずえ(あおう・こずえ)さん

2024.09.06(金)
文=粟生こずえ
写真=平松市聖

CREA 2024年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

楽しいひとり温泉。

CREA 2024年秋号

楽しいひとり温泉。

定価980円

CREAがはじめてひとり温泉を特集して7年。当時は「女性がひとりで温泉なんて!」と驚きを持って受け止められたこのテーマも、いつか珍しくない光景となりました。そして8年目となる今年、「ひとり温泉」は次なるフェーズへ。コロナ禍を経て、進化する“温泉地”を舞台に、めぐる旅を大特集します。いまこそ、めぐるか。それでも、こもるか。さあこの秋こそ、楽しいひとり温泉へ!