ターニングポイントになった番組

――当時はかなり悩んでいたのですね。

井上 私は「テレビに出たい」という気持ちが先にあって、そこにたどり着く手段とか武器とか何も考えていなかったんです。田舎の自然の中で育って、昆虫採集とかはうまかったですけど、ダンスとか何かを習うことはなかった。

 目標も、「芸人になりたい」から始まって、その次は女優を目指して。ホリプロに入ってからは「バラエティやります」みたいになって、もうブレブレですよね。

 ダンスも歌もできないし、おもしろいことも言えない。「周りには『眉毛だけで呼ばれているんだろうな、この人』って思われているんだろうな」と思っていました。

――苦しい時間が続いた中で、ターニングポイントになった番組はありますか。

井上 2020年12月に出演した『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)の3時間スペシャルです。その時、「眉毛を剃ってみませんか」とお話をいただいたんです。

 どうせ仕事もないし、中途半端な知名度のまま続けても何も変化が起こらないなら、一か八か眉毛を剃って、1回でもいいから話題になりたい、この状況を脱したいと思って。眉毛が細くなってほかの番組に出られなくなったらその時はその時だと考え、藁にも縋る思いでその提案に飛びつきました。

――眉毛を剃ったことで、具体的にどのような変化が生じましたか。

井上 眉毛を剃って、1年ちょっとで『新婚さんいらっしゃい!』が決まって、そこから27時間テレビの100キロマラソンの話が来たりとか、いろんな番組から声がかかるようになりました。眉毛を剃って4年目になりますが、こんなにうまくいくとは思っていなかったですね。

 

周囲の見る目がちょっと変わった

――『新婚さんいらっしゃい!』のレギュラーを持つことで自分の評価、周囲の見方なども変わってきましたか。

井上 大きく変わりました。レギュラーが決まって、そのニュースが出た翌日に番組の収録があったんです。共演者の楽屋に挨拶へいくと、みなさん「おめでとう」と言ってくださって。廊下ですれ違う方からも「おめでとう」と声をかけていただいたんです。

2024.07.27(土)
文=佐藤 俊