楽しい思い出ばかりと思いきや……
ひたすら「南伊」という2字のみに目を凝らすことに専心すれば、きっと、ここが南イタリアであると信ずることができるだろう。信じるんだよ!
せっかくなので、ついでに、伊豆半島東岸を南下し北上したここまでの道のりを、写真とともに振り返っておくとしよう。
熱海と伊豆急下田を結ぶ列車「リゾート21」には、そこかしこにこの地を象徴する海の幸である金目鯛の意匠があしらわれていた。
南伊豆町の最寄駅となる伊豆急下田駅前にあったのは、「ホテルマルセイユ」だった。南伊と思いきや、ここは南仏だった。
伊豆急下田駅の近くには、こんな名前の会社があった、「南伊」ではなく、「南豆」と略す作法もあるらしい。社名を見つめているうちに、落花生が食べたくなった。
石廊崎までの途中に、「下流」というバス停があった。「下流」かと思ったが、「したる」と読むらしい。かつてラヴィ・シャンカールがこの地を訪れたとか、そういう謂れがあるのだろうか。
東京への帰途、熱海での乗り換えの間に、俺がこよなく愛する五月みどりさんのタレントショップに立ち寄ることにした。恐らく、10年ぶりぐらいではないだろうか。
平和通り商店街のアーケードを通り抜けた俺の目に映ったのは……。
……五月さんの店「ヴィーナス」は、クローズしていた。店内はもぬけの殻だった。残念だ。俺は、五月さんの著書に倣ってデコレートしたティッシュボックス(いつも持ち歩いている)から数枚を取り出し、とめどない涙を拭いつつ新幹線こだま号に飛び乗った。
五月みどりさんがティッシュボックスのデコレーションを分かりやすく解説した『フローラルクラフト 暮らしを彩るティッシュボックス』(日本ヴォーグ社)。確か、恵比寿には教室もあったはずだ。
なお、俺がいかに五月みどりさんのことを気にかけながら生きているかについては、弊サイトのバックナンバーである「芸能界のクイーン・オブ・ギフトこと あの熟女の魅力を徹底解剖します!」を熟読していただきたい。
2024.07.16(火)
文・撮影=ヤング
CREA Traveller 2024 vol.3
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
この記事の掲載号
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