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料理は女性だけの役割ではない

──お忙しい神崎さんですが、「お料理したくない」と思う日はありますか? そんな日はどうされているのですか?

 しょっちゅうありますよ(笑)。「食べる」って毎日続くことなので、深く考えちゃうとつらくなっちゃうんです。だから、自分がしんどくならないよう、自分のペースで続けていくことを大事にしています。

 外食してもいいし、お惣菜やお弁当を買ってきてもいい。いまはUber Eatsも充実していますから、家でご飯を作らなくても困ることはないですよね。

 そもそも料理は女性だけの役割ではないと思っています。日頃から息子たちへも伝えていますが、自分の食べるものは自分で作れたらいいし、将来もしパートナーと一緒に生活するなら、助け合って「おいしいご飯」を作ってほしい。「料理は女性がするもの」「女性は料理上手なほうがいい」という固定観念を変えられたらいいな、と思ったのも、今回この本を出すきっかけのひとつとなりました。

──「料理は女性だけの役割ではない」というお言葉に勇気づけられます。

 今は男性も女性もみんな忙しいですからね。できる人ができることをやればいいんです。「料理は苦手だけど、作ってみよう」と思う方は作ればいいし、「料理は苦手だから作らない」と思う方は、そう宣言してしまってもいいと思います。

 私は、いつか私がいなくなったあと、息子たちが「母ちゃんの料理、おいしかったな」と思ってくれたらいいな、と思いながらキッチンに立っています。それに、食の進み方や食べ方で、言葉が無くても、息子たちの心具合や体調が分かるし、息子たちの食べる姿は私に元気をくれるんです。

2024.07.31(水)
文=相澤洋美
写真=橋本 篤