料理家として活躍するなかしましほさんが、足繁く通って夢中になっている国・韓国。本当に食べたい味が味わえる、ソウルのとっておきの店をまとめたガイド本『なかしましほ ソウルのおいしいごはんとおやつ』が注目を集めています。本の中から、CREA読者におすすめしたいお店や食材を教えてもらいました。
魅せられたきっかけは韓国ドラマでみんなが食べている家庭料理
――なかしまさんが韓国に通い始めたのはいつ頃からですか。
なかしまさん 8年前くらいに、韓国のドラマや映画、そして音楽に夢中になったのがきっかけです。友人におすすめしてもらった作品を手当たり次第観てましたよ(笑)。私は好きなことを仕事にしているから、いつも頭の中が仕事のことでいっぱいで……。韓国のカルチャーに触れているあいだは、仕事から少し離れられるのが嬉しかったのかもしれません。
韓国のドラマや映画って、食事のシーンがとても多いんです。みんな、しょっちゅう何かを食べているし、「ごはん食べた?」と声をかけるのが挨拶がわりになってます。それくらい「食」が生活の中心になっているのがとても面白くて。当時はまだ今と違って、日本で韓国料理というと焼肉とか、ビビンパみたいなものが一般的だったので、ドラマの中に映っているまだ観たことのない料理に心惹かれました。そこで思い切って「現地で韓国の家庭料理を食べてみよう!」と渡韓したのがはじまりですね。
その後、K-popのライブで行ったり、自分の本のイベントで行ったりと、コンスタントに韓国に通い続けています。
自分が作るお菓子にも繋がる穏やかな家庭料理が大好き
――著書に掲載している店はどのように選ばれたのですか。
なかしまさん 友人が教えてくれたところもありますし、ふらっとたまたま入った店がすごい好みで掲載することになったところも。看板メニューでないものに惹かれることもあります。
辛すぎるものはあまり得意ではないので、韓国ではあまり辛くなくて毎日食べられるような穏やかな料理をよくいただいています。ソウルで暮らす人たちが、仕事の合間などに普通に食べているごはんが理想ですね。だから、本で紹介している店はどれも日々の延長にあるような「ゆっくり伝わる味」を提供してくれるところばかり。自分が作るお菓子とも重なる部分があるかもしれません。
まずおすすめしたいのは、韓国の友人が案内してくれた「アンドク」。おからのチヂミが絶品なんです。外はカリッとしていて中はしっとりとろり。食感のコントラストがたまりません。塩以外に調味料は一切加えてないという、体がよろこぶ、どこまでもやさしい味です。
アンドク
所在地 ソウル特別市鐘路区紫霞門路17キル18-1F
2024.06.26(水)
文=高田真莉絵
写真=衛藤キヨコ