この記事の連載
- 中鎖脂肪酸 #1
- 中鎖脂肪酸 #2
●中鎖脂肪酸は飽和脂肪酸
……と、ここら辺までは、私も以前から知っていたので、家に数種の油、主に亜麻仁油とオリーブオイルを常備していて、青魚やナッツを食べてオメガ3とオメガ9の摂取にいそしんできたのです。が、ある時、急に中鎖脂肪酸という名前をよく耳にするようになったので、「え、それって、どこのカテゴリー?」と、謎に思ってしまったのですよ。
そこで調べてみたところ、中鎖脂肪酸とは、避けるべきだと思い込んでいた「飽和脂肪酸」グループの脂肪酸で、「飽和脂肪酸」の中にも種類があると知りました。
正確に知るために、今回は、栄養療法を治療に取り入れていて、油についてもお詳しいブレインケアクリニックの今野裕之先生に教わりに行きました。
●ブレインケアクリニック
「飽和脂肪酸とは、加熱しても酸化しにくい(=劣化しにくい)油で、『長鎖』『中鎖』『短鎖』の3種類があります。飽和脂肪酸は体に悪いというイメージがあるかもしれませんが、種類によってその性質は異なります。長鎖脂肪酸は、牛の脂肪であるヘットや豚の脂肪のラード、乳脂肪のバターなどの動物性の脂質に多く含まれます。一般的に言われているような『コレステロールを上げる』『摂り過ぎると太りやすい』というのは、主に長鎖脂肪酸の性質です」(今野先生、以下同)
「中鎖脂肪酸は、長鎖脂肪酸に比べて消化・吸収されやすいのが特徴です。食品ではココナッツオイルに特に多く含まれています。長鎖脂肪酸と比べると代謝が早く、すぐにエネルギーになるために、太りにくい油として知られています。短鎖脂肪酸には酢酸や酪酸などの種類があり、ビフィズス菌など善玉の腸内細菌が産生する物質です。腸内を酸性にして悪玉菌の増殖を抑え、腸管のバリア機能を高めるなど腸内環境の改善に大きな役割を果たします」。
ちなみに、中鎖脂肪酸がなぜ消化・吸収されやすいかというと、中鎖脂肪酸は「直接、肝臓に入って分解されるから」と各所で聞かされるのですが、「じゃあ、他の脂肪酸はどうなのか」というと、長鎖脂肪酸は小腸で消化・吸収された後、リンパ管や静脈を通って脂肪組織や筋肉・肝臓に運ばれて、必要に応じて分解・貯蔵されるとか。つまり、吸収されるまでの過程が長いうえに、脂肪として体に溜め込まれやすいのです。
2024.06.23(日)
文=にらさわあきこ