でもまぁ、最終的にはまわり道するっていうことが、自分の生き方そのものなんですよね。小説を書くこともそうですけれども、書き始めるときにスタートからゴールまで一番合理的にまっすぐ行った話が面白いのかっていったら、ちっとも面白くないだろうなって思う。だから、A地点からB地点、B地点からC地点に行くときに、いかにまわり道をしてどのようにしてそこにたどり着くか、ということを考えます。
読書で一番大事だと思うもの――私が読みたいものは、「過程」なんです。もちろん人生も本も結末にたどり着くのは大変なことだけれども、「過程」の中で自分がいかに成長していくか、何を身に着けていくか、ということが、実は生きるってことの醍醐味だと思っているから。それは小説を書くことも全く同じだし、あと、まわり道してきたから、いろんな景色を見てこられたんですよ、ほんとに。
万葉と沙羅
定価 825円(税込)
文藝春秋
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2024.06.15(土)
文=「文春文庫」編集部