悩みやストレスで困ったとき、中高生に伝えたいこと
悩みがあるのは、生きていれば当たり前のことです。いままわりにいる大人たち――お父さんもお母さんもみんな中高生のとき同じように悩んでいたから。悩んでいたけど、みんな大人になってる。そして、たぶん大人になってまた別の悩みを抱えるようになる。ただ、その乗り越え方とか発散の仕方を覚えるだけ。
自分を鼓舞したり機嫌を良くするっていう事は、誰かにしてもらうんじゃなくて、最終的に自分にしかできないんですよね。それが出来て、誰が得するって自分が得しますよ。自分の機嫌の取り方は、自分が一番良く分かりますよね。
そのためには、手段はたくさん使った方がいいです。自分のまわりにいる人たちの存在は大きい。でも、そういう人間関係って、相手を自分で選べないし、出会いには運不運もありますから、いい人に恵まれない状況のときでも、本だけは選べます。本当に出会いたい本を自分から探しにいくことができる。そしてそれは、自分にとって大きなプラスになっていきます。
『万葉と沙羅』では、私自身がこれまで偶然選んだ本もあるし、「あ、これ読んでみたい」と思って選んだ本もたくさん入っているんですけれども、こういった本もあるよという参考にしてもらえたら嬉しいな。芹沢光治良の『緑の校庭』や宮沢賢治『銀河鉄道の夜』、山田詠美『ぼくは勉強ができない』など、おすすめの本ばかりです。
沙羅も万葉も、苦しいところを乗り越えようとしている。悩みのない人なんていない。でも、苦しいとかつらいって、あきらめずに生きている証拠なんです。あきらめてたら、そんなこと感じないから。
実は、まわり道は一番近いのだ。
私自身がいろんなことでまわり道をしてきたと思っています。高校をたくさん通ったこともそうだし、その他にも、人生そのものがまわり道をしているって。後から考えると、もっとこっちからこういけば良かったのに、全然そういうふうに来られなかったなぁってことばかりで。でも、歩んできた道のようにしか来られなかったんだよねっていう、そういう自分も分かるんです。この生き方しかできなかった。
2024.06.15(土)
文=「文春文庫」編集部